第51話

「あの。勉強で分からない所があるんですけど…… 」

奈緒はモジモジしながら瑤を見る。

「他の人に訊いて」

瑤があっさり言った言葉を聞いて奈緒は唖然としている。

「えっ?」

「当然だと思うけど。君は心結ちゃんの友人ではあっても、俺とは何の関係もない。教える義務はないからね」

「何の関係もないって…… 」

奈緒は絶句してしまう。

「帰る」

奈緒は黙って道具を片付け始めた。

「奈緒……!」

瑤はそのまま部屋を出て行った。

そのまま帰ろうとした奈緒を、心結が追いかけた。


「何よ!あんな言い方ないじゃない!」

夜の道を奈緒はズンズン歩いて行く。

「瑤ちゃん、勉強は苦手みたいよ」

「じゃあ、そう言えばいいじゃない!」

「奈緒…… 」

「あんな人だと思わなかった!」


「何で奈緒にあんな言い方したの?もう少し別の言い方あったでしょう?」

「はっきり言っておきたかったから」

「…… 」

「ああ、言っておけば必要以上は来ないだろう?」

「…… 」

「彼女の気持ちははっきり言って迷惑だ。俺には好きな子がいる」

「そうだったの…… 」

心結は納得したように頷いた。

「きっと彼女の事が大事なんだね。他の子を粗略に扱う程に」


うわぁ!そこまで分かっているのに気付いていない……

瑤は大きく息を吐き出した。

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