第38話 奴隷傭兵、東へ行く
「それは、まだ確信が持てなかったからです。僕の年齢が違ってたこともあって、ひょっとしたら領主や息子もって期待したんですが。そこは変わってなかったんです」
「まぁ、事情はわかった。未来が完全に一致しない限りなんとも言えないが、傭兵団として力をつけるのは賛成だ。なんせまだ最低ランクのFだからな」
俺としてはゴブリン討伐で相当ランクが上がっただろうと思ってたんだが、傭兵団のランクは戦場での活躍以外は認められないらしい。レラの街を救ったのを評価してくれたっていいと思うんだが、ギルドにはあれもゴブリン討伐と変わらないと認定されたようだ。
お陰で結成から一年以上経っても我らが『ブラックシープ』は最低ランクを維持してるってわけだ。その後、俺たちは宿に戻った。そこで話し合いをした結果、モントール州の州都ベス・エ・サンターナに行くことになる。と、同時に当面は団員を募集するより妖魔兵を使ったほうが安上がりという結論になった。
極端な話、食費も給金もいらないのだ。ただ、そうはいっても武器は必要になる。彼らが自作で作れるような武器は戦場では不安だ。特に弓が酷く、遠くに飛ばないわ、明後日の方向に飛んでいくわで見ていてこっちが泣きたくなる代物だ。
ここで一番安い弓の値段を調べたら五十揃えるだけで二百五十万ディナールかかる。書店の婆さんに二度も毟り取られて懐もだいぶ寒い。そういうわけで、また交易をすることになった。
ここから南西の街レ・ドールは赤胡椒の産地だそうで、そこで残りの残金五百万ディナールを全て赤胡椒に変えた。そして、州都に戻り山越えのために使えなくなった荷馬車を売って、最後の準備を整えると東の森からモントールへ抜ける。
東の森に入ると、何度もゴブリンたちの襲撃を受けた。一か月籠っていた三人は慣れっこになっていたが、アニーは過剰に反応する。一匹見つけただけで詠唱を始める始末だったので、無理矢理止めてしばらく見学していてもらった。
四度目の襲撃時にはようやく慣れてきたようで、落ち着いて状況を判断出来るようになる。五度目の襲撃時にはアニーにも参戦してもらい、『ガスト』や『ワールウインド』の魔法で攪乱してもらい俺が仕留めるという連携も取れた。そうこうしているうちに、リアが契約した妖魔兵を放った付近に来る。
「リア、この辺りだったか?」
「うん、彼らを感じる。この辺りなの」
「集めれるか?」
俺の問いにコクンと頷くと、リアは呼びかけに集中し始めた。調教師の呼びかけというのは魔力を特殊な周波に変換して飛ばすらしい。人間には聞こえない、犬笛みたいなもんだろうか?しばらくすると、周辺からわらわらとホブゴブリンたちが集まって来る。
【後書き】
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