デートの終わり
「愛羅、美味しかったか?」
少し早い夕食を食べ、もうさっきの本屋での出来事や映画館での出来事なんて完全に忘れたように……と言うか、絶対に触れないようにして、俺は手を繋いで隣を歩いている愛羅にそう聞いた。
「うん。美味しかった。ありがとうヒロト」
「なら良かったよ」
食べてる時もちゃんと美味しいって言ってたし、分かってたことではあったけど、雑談の意味も込めてな。
「もう帰る?」
「そのつもりだが、何かあったか?」
「ううん。何も無い。もうデートが終わりか聞いただけ」
「……デートじゃ──まぁいいか」
否定してもそれを否定してくる、みたいなループに陥るだろうし。
そう思い、俺はそのまま黙って愛羅と一緒に家に帰った。
……色んな意味で濃い一日だったな。
「ヒロト、お風呂、入る?」
家に帰ると、姉さんは居なかった。
だからこそ、愛羅が堂々と姿を現してきたままそう聞いてきた。
「……入ろうとは思うが、一緒には入らないぞ?」
「なんで?」
「なんでって、今は姉さんが居ないだろ?」
「でも、いつ帰ってくるか分からない」
……確かに、それはそう、か。……い、いや、だからって……何か、無い、のか?
確かに、俺は愛羅がこっちの世界に着いてきてから、毎日一緒に風呂に入っている。
とはいえ、慣れるものでは無いんだよ。……い、いや、相手は娘だし、何も思ってなんてないけど、慣れないんだよ!
「…………俺がすぐ側で待機しておけば大丈夫だ」
当たり前だけど、中を見ないようにな。
「やだ。一緒に入ろ?」
俺の言葉に、愛羅は小さく首を傾げながら、可愛らしくそう言ってきた。
……あんな顔で言われたら、少しだけ心が揺れそうになるけど、ダメだ。なんと言われようが、首を縦に振る訳にはいかない。
……これに慣れてしまったら、本当にダメになってしまう気がする。……色んな意味でさ。
「入らない」
「…………分かった。……今日は……今日だけは一人で入る。……私も、この下着を見せるのはまだちょっとだけ恥ずかしいから」
今日だけはっていうか、毎日一人で入ってもらいたいんだが……まぁ、それは無理、だよな。色んな意味で。
……と言うか、この下着っていうのは、あの下着、だよな……? あの時買った超エロいやつ。
今、履いてる、のか? ……だからあんなに胸の感触が柔らか……い、いや、聞かなかったことにしよう。
「もうシャワーの使い方とか、シャンプーとリンスの使い方は分かるよな?」
「うん。分かる」
「……あれだ。本当になにか分からないことだったり、怖いことが起きたら、俺を呼べよ」
「分かった」
無いとは思うけどな。
…………ん? 待った。聞かなかったことにするとは言ったけど、愛羅はあの下着とはいえ、下着姿を見られるのが恥ずかしいのか?
……当然記憶から消すように努力はしてるけど、裸だって見た事があるくらいだぞ? 今更……いや、年相応の羞恥心を持ってくれたことに喜んでおくか。
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