少しでも
あれから、愛羅にスマホを弄ることを許されることなく、そのまま愛羅を撫でたりしながら過ごしていると、直ぐにもう起きなければならない時間になり、俺はリビングで姉さんと適当な話をしたりしながら、わざと朝ごはんをゆっくりと食べていた。
「そろそろ行ってくるね〜。お弁当はいつも通り置いてあるから〜」
「分かったよ、行ってらっしゃい。今日も頑張ってね」
そうしていると、姉さんが今日も仕事に行くために家を出ていった。
「愛羅、食べかけではあるけど、こっちにはまだ手をつけてないから、食べるか?」
玄関の扉が閉まる音をちゃんと確認したところで、俺は近くにいるであろう愛羅に向かってそう聞いた。
そのためにわざと遅く食べて、手をつけていない部分を作ったんだからな。
「いいの?」
「そりゃな」
「食べさせてくれる?」
「……それは自分で食べなさい」
甘えてくれるのは嬉しいけど、甘えさせ続けるのもな、と思い、俺はそう言った。
それ以外にも、正直、恥ず……かしくは別に無いけど、俺の方もさっさと食べなくちゃでもあるからな。
「……分かった。でも、そっちがいい」
すると、愛羅は俺の食べかけの方に視線を向けながら、そう言ってきた。
「……いや、こっちは食べかけだぞ?」
俺たちは親子だし、今更間接キスなんて気にしないことくらい分かってるけど、手をつけてない方があるんだから、そっちを食べればいいんじゃないか?
「そっちがいい」
「愛羅がいいのなら、俺は別にいいけど……ほんとにいいのか?」
「うん」
「そうか」
まぁ、これが食べたかったのかな? と思い、断る理由も無いから、俺は素直に愛羅の希望を聞くことして、頷いた。
「愛羅、俺はそろそろ制服に着替えてくるよ」
朝食を食べ終わり、今日はコンビニで愛羅の朝食のためにお金を使わなくても大丈夫だったことに安心しながら、リビングで愛羅との時間を過ごしていると、もうそろそろ家を出なくちゃならない時間になったから、俺は一言そう言った。
「……愛羅、なんで付いてこようとしてるんだよ」
そして、愛羅と隣同士に座っていたソファから立ち上がり、そのまま部屋に向かおうとすると、何故か愛羅が後ろを付いてこようとしてきていたから、俺は後ろに振り返りながら、そう言った。
「一緒にいたい。ダメ?」
「……直ぐに戻ってくるから」
「離れたくない」
「……一応、着替えるんだけど」
「気にしない、でしょ? 娘、だもんね」
小さく首を傾げ、愛羅はそう言ってきた。
「それは……そう、だけど……い、いや、わ、分かった。好きにしてくれ」
確かに、娘に下着を見られることくらいなんでも無いことだし、俺は言いたい言葉を飲み込み、そう言って頷いた。
そもそも、昨日だって別に愛羅の前で制服に着替えてるしな。
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