アストライオス・リブラ ~男の娘になった俺は、魔法少女になって横浜の平和を守ります!~

FUJI MAMORU

序章

20年期(1990年~2010年)

■1990年7月18日 月間ムーワールド


【米国カルフォルニアに新たなユーマ出現か!?】


米国カルフォルニアにおいて『UMA―謎の未確認動物』が発見された。

カルフォルニアの工場作業員ジョインさんは、車で通勤中に黒い蠢く肉塊を発見した。


目撃箇所が道路より離れた森の中のため、詳細は確認出来なかったものの、その大きさは乗用車と同等の大きさで、触手のようなものが数本生えていたという。そして、その物体は森の奥へゆっくり移動していったという。


残念ながら写真は撮れなかったものの、ジョインさんのスケッチでは、かなり肉厚の体が示され、ところどころ赤く発光していたと証言している。

果たしてこの生物の正体は何なのか? 少なくとも今までに目撃証言のない新種の生物なのは間違いないだろう。




■1994年2月8日 スポーツ毎日


【世界中でユーマが出現!?目撃証言相次ぐ】


今年、世界中で未確認生物・ユーマの目撃証言が相次いでいる。

米国ではカルフォルニアとポートランド、オーストラリアではダーウィン近郊、

アジア圏ではインドネシアとベトナムでユーマが目撃されている。


いずれも黒い肉塊に赤く発光する部位を持ち、触手を動かしている点などが共通している。ユーマ研究家の高橋さんは「ここ1年ほど、太平洋周辺国にて同じタイプのユーマが目撃されています。ここまで多数の目撃例があることから、誤認の可能性は低く、軍の生物兵器である。宇宙人が運んできた生物。隕石飛来説などの様々な憶測を呼んでいます」と話している。


ユーマの正体はハッキリしないものの、更なる目撃証言が出れば、なにか進展はあるかもしれない。




■1994年11月18日 月間ムーワールド


【伊豆山頂にて女性型フライング・ヒューマノイド激写!】


1994年8月に、葛城山の山頂にある伊豆スカイパークにて、いままでに目撃例のないフライング・ヒューマノイドが撮影された。

伊豆スカイパークは、葛城山の山頂にある展望公園で標高は約450メートル。山麓エリアからロープウェイで山頂へ移動、展望を楽しむ人気の観光地だ。そこで偶然にフライング・ヒューマノイドが撮影された。


撮影したのは若いカップルで、展望デッキで富士山と駿河湾を一望する絶景を背景に、彼氏が女性を撮影した。

撮影した当時はまったく気付かなかったが、後日現像した写真を見てビックリ仰天。背景の青空に小さな人影が写っていたのだ。ムーワールドでは入手した写真を拡大。ユーマ研究家の高橋さんに意見を聞いた。


「フライング・ヒューマノイドは、ユーマに分類されます。目撃例はメキシコに集中しており、日本国内では初めての事例です。フライング・ヒューマノイドは人間の形をしており、色は黒やグレー、ハッキリとした姿形で撮影されたことはありません。

ゆえに今回撮影された写真は非常に珍しい、遠目ではありますが、かなりハッキリとした姿で写っています。何やら明るいドレスのような服、長い髪、恐らくスカート、背中の謎の突起。これらから女性型フライング・ヒューマノイドと判断できます。

多分ですが、世界で初めて撮影された女性型フライング・ヒューマノイドかも知れません」




■1995年9月1日 新報新聞


【東京都西多摩郡で軽トラックが熊に襲われる】


本日昼頃、東京都西多摩郡 奥多摩町付近の都道204号を走行していた軽トラックが、熊と思われる動物に襲われ大破した。

運転手の男性は病院に搬送されたものの意識不明の重体。男性は意識を失う前に、黒い触手のようなものに吹き飛ばされた。と発言。警察は熊を誤認したものと判断し調査している。




■1995年12月22日 サンデースポーツ


【日本各地で異常空振!? 地震の前兆か?】


1月に阪神・淡路大震災が発生。関西は復興途上にあるが、ここにきて日本の様々な場所で異常な振動が報告されている。

関東大震災でも、発生前に大砲のような音が聞こえたと証言もあることから、地震の前兆現象ではないか? と、関係各方面に物議を呼んでいる。


静岡市葵区では、西側の山中で、20時頃に大きな爆発音のようなものが数回起き、付近の民家のガラスが振動した。また神奈川県小田原市にて、夜間に「こどもの森」上空辺りで発光と爆裂音が2回発生。


東京都あきる野市の秋川渓谷方向から、地に響くような振動が複数回確認された。他にも福岡県や東北、北海道でも同様な空振や振動が報告されている。

このことから日本全国での活断層が活発に動いているのではないかと議論が起きている。




■1996年7月8日 アサギグラフ


【千葉県佐倉市に謎の生物が襲来! 民家3軒が崩壊」


白昼堂々、自動車ほどの大きさの黒い動物に、佐倉市の民家が襲われた。

襲ってきた動物は、黒い体で所々が赤く発光しており、触手のようなもので民家を攻撃。民家3軒が破壊された。幸いにも民家に人はおらず被害はなかった。


駆け付けた警官2名が、未確認動物に拳銃で発砲したものの効果なし、逆に攻撃を受け警官1名が負傷。未確認動物は北貢街道を西進、阻止線を張った警官隊の銃撃により排除された模様。


この一連の様子は、付近の会社の従業員のよって写真とビデオカメラによって撮影された。次の日にはテレビニュースで報道され、大きな話題となった。




■1996年8月18日 月間ムーワールド


【千葉県にユーマ出現! ビデオカメラに鳥人間も!】


1か月前に千葉でユーマが出現し襲撃を行った、幸いにも死者は出なかったものの、ユーマは黒い胴体に赤い発光点が確認されていることから、世界中で目撃されているユーマと特徴が一致している。まだ海外では襲撃が起きていないため、これが初めての武力衝突事案となった。


一連の様子は、付近の(株)ロードトラストの社員によってビデオカメラにて撮影され、テレビニュースに流れた。大変に生々しい映像だが、我がムーワールドは、上空に一瞬だけ鳥人間が写りこんでいるのを発見した。


ビデオでは警官2名がユーマに拳銃を発砲。触手が警官を薙ぎ払う直前にカメラが上空を向いた。

そこに空を飛ぶ鳥人間のようなものが写りこんでいたのである。そのあとすぐカメラは、吹き飛ばされた警官を撮影、警官の後退と共に撮影者も後退、その時に再びカメラは上空を向いたが、その時には上空に鳥人間の姿はなかった。


ビデオ映像では、鳥人間は点のようにしか見えなかったので、拡大して分析を行った。

逆光のため影しか映っていないが、明らかに人間の形をしていて、背中に鳥のような大きな翼が確認できる。

以前伊豆において、女性型フライング・ヒューマノイドが確認されたが、伊豆とは距離があり、翼もなかったことから、フライング・ヒューマノイドであるにしても、伊豆のものと別個体であると推測できる。




■1997年4月3日 朝木新聞


【大型有害獣は増加傾向、世界で広がる波紋】


去年の夏に、日本で大型有害獣との戦いが起きたことは記憶に新しいが、それ以降世界各地で害獣の目撃及び戦闘が増加傾向だ。

日本ではこれまでに6度、害獣発見及び警察による戦闘が行われており、米国でもカリフォルニア州軍が2度害獣の排除を行った。

その他にも、オーストラリア、インドネシア、中国で1度戦闘が発生しており、新たにイタリアでも目撃された。


米軍消息筋の見解は

「とにかくこの未知の生物は体が頑強であり、拳銃弾なら200発、ライフル弾で100発、対戦車ライフルで10発撃ち込まないと倒すことができない。そして死んだ害獣は空気に溶けて消えてしまう。残されるのは地球上に存在しない謎の石のみ、死体が手に入らないので、調査はままならず、どうやって地上に出てくるかも分からない。このまま調査が進まないと、いずれ大変な事になるかも知れない」

と語っている。


大型有害獣は主に3種類確認されている。イソギンチャク型、犬型、鳥型である。この中で出現回数が一番多いのはイソギンチャク型で、日本ではこれしか確認されておらず、犬型は中国で、鳥型は米国で発見、討伐された。

国連でも議題に上っており、各国政府の早急な対応が必要だ。





■1997年9月24日 週刊コスモス


【千葉市花鳥公園にて、害獣と鳥人間を至近距離で激写!!】


近年、廉価になったデジタルカメラの普及が著しい。デジタルカメラを持つ人々は年々増加傾向であり、そのうちの1つがついに、最近目撃例が増えた、女性型フライング・ヒューマノイドを至近距離から捉えた。


9月2日14時頃、千葉市花見川区の花鳥公園に突如イソギンチャク型の大型有害獣が出現した。

当時、弓道場およびテニスコートには30名程がおり、現場は一時パニック状態になった。

現場にいた人々はすぐに避難、害獣は20分かけて弓道場及びテニスコートを破壊、横にあるスポーツ施設の建物に進行中、突如上から光弾が飛来し、害獣に数発命中し討伐された。


スポーツ撮影に、たまたまデジタルカメラを持って来ていた道場関係者は、スポーツ施設の建物の屋根に人がいるのを確認、光弾を発射した人物だと考え、デジタルカメラにて静止画及び動画を至近距離から撮影した。


静止画で撮影された人物は女性であり、年齢は中学生辺りと思われる。派手なドレスを着ていたが、手足にはプロテクターを装備、背中には折りたたまれた翼が写っていた。全体的には未来的なデザインであり、美しいと感じるが、顔を覆うサングラスとマスクが、その美しさを台無しにしていた。


動画では害獣撃破を確認後、背中の翼をすぐに展開して飛び立ち、あっという間に空に消えていった。彼女は去年、現場からほど近い佐倉市で、偶然映り込んだ鳥人間と特徴が類似しており、同一個体と思われる。


果たして彼女は何者なのか? 

いや、彼女だけでは無い。伊豆シーパラダイス付近では、翼を持たないが、浮遊して移動している女性が1か月前に目撃され、東大阪市では、高さ30メートル程のジャンプを繰り返しながら、山間部を移動する女性が写真に撮られ、福岡近郊では、空で宙返りをしている翼が付いた女性が目撃され、東北では空に床があるかの如く、空気を蹴りながら空中を移動する女性が目撃された。


果たして彼女達は何者なのか?

大型有害獣が現れつつあるこの世界を救う救世主なのか? それとも…




■1999年7月7日 号外 


【埼玉県杉裏戸町に、大規模害獣集団と超大型有害獣が出現!!】


本日19時ごろ、埼玉県杉裏戸町に複数の大型有害獣が現れ、町を襲撃している模様。

被害地区は、伊勢崎線と日光線が分岐する拠点駅「東部動物公園駅」の川を隔てた北側で、少なくとも6体以上のイソギンチャク型の大型有害獣。これまでに出現したことがない、50メートル級の超大型有害獣が確認されている。


この超大型有害獣は、東部動物公園駅からもハッキリと視認でき、ウミウシのような形状で、複数の触手から火球を発射している。この火球により、付近の民家、店舗、工場、学校等が大きな損傷を受け、火災が発生している。


この被害により現場は大混乱。日光街道では大渋滞で身動きが出来ず、その影響は南の春日部久喜線にも波及している。現在超大型有害獣は、杉裏戸町中学校付近から南東方向へ進行中の模様である。


現場一帯は大規模停電に見舞われており、役場との連絡も取れず、情報源は携帯電話のみとなっている。情報は錯綜しており、正確な状況は不明。


この一連の動きに対して、政府は自衛隊の出動を要請するとともに、戦後初の「治安出動」を検討している模様。




■1999年7月8日 新報新聞


【自衛隊治安出動! 杉裏戸町は戦闘による余波により壊滅状態!】


昨日19時ごろ、埼玉県杉裏戸町に複数の大型有害獣と超大型有害獣が出現、自衛隊及び有志の活躍により、22時頃に戦闘が終結した。

現在発表されている情報によれば、出現した害獣は、ウミウシ型超大型有害獣1、イソギンチャク型8、犬型4である。

ただし最初の戦闘は、自衛隊によるものではない。


まず、20時頃に東から背中に翼をつけた女性が飛来、空中から光弾を発射、イソギンチャク型2を撃破。それから日光街道を着陸し、剣のようなもので、さらにイソギンチャク型2を撃破。再び空中を飛翔し、ウミウシ型に光弾を10発以上発射した。


西側では、住宅地に斧のようなものを持った女性が出現、空中を蹴りながら高速移動を行い、犬型4、イソギンチャク型1を撃破。両者とも、自衛隊の対戦車ヘリコプターの飛来を認めると、即座に撤収した。両者の関係性は不明。


そのあと対戦車ヘリコプターの機銃及びロケット弾攻撃により、ウミウシ型を制圧。駆け付けた陸自隊員による対戦車ライフルの攻撃により、イソギンチャク型3を制圧。22時頃に戦闘は終結した。


この襲撃により、杉裏戸町は中心地の7割を焼失、死者行方不明者は千名以上にのぼり、現在も捜索を行っている。

町はまるで爆撃を受けたような惨状で、この状況は世界中でニュース報道された。




■2000年9月28日 週刊黒潮


【日本全国に拡大する戦闘! 活躍するドレスガール! 政府対応は後手に回る】


昨年発生した「杉裏戸町制圧戦」以降、日本各地で大型有害獣の活動が活発化している。

すでに自衛隊の出動は16回を数え、顔を隠した謎の「ドレスガール」の戦闘もあちこちで散見される。

なお、この「ドレスガール」は、去年開設され利用者が増加傾向である電子掲示板「2チャンネル」にて、魔法少女と呼ばれている。


なぜ魔法少女かというと、確認された「ドレスガール」がすべて中学、高校生程度の年齢の女性であるからである。

たしかに、魔法のような光弾を放ち空を飛んだりするが、武器は剣や斧、弓などであり、魔法のステッキらしいものを所持している者は数名しか確認されておらず、姿も未来的で、どちらかというとSF寄りではあるが、華美なドレス姿が魔法少女を連想させるらしい。


4月の大阪市内での戦闘では、5名のドレスガールが遊撃戦を展開。6月の関東での戦いでは、飛行型ドレスガール1名と、通常型ドレスガール2名が参戦。8月の九州での戦闘では2名の飛行型ドレスガールと通常型ドレスガール2名が害獣との戦闘を行った。


ここにきてドレスガール達は連携して戦闘を行うようになった。目撃証言によれば彼女達は去年実用化された携帯メールで連絡を取り合っているようだ。

大体平日は夜にしか現れず、土日や春休み、夏休み期間にはよく出没している為、学生なのは間違いない。

しかし相変わらず顔は隠され、サングラスとマスク、スキー用ゴーグル、溶接マスク、般若お面など、色々なお面で顔を撮影されないようにしており、SF的な美しいドレスを台無しにしている。


問題なのは、大型有害獣対策室を設置している政府の対応で、自衛隊の迎撃態勢、ドレスガールの扱い、杉裏戸町の復興など、手をつけなければならない事案が大量にありながら、日々出現する大型有害獣の対応に追われ、まともな方針を打ち出せない点にある。

後手に回る政府は、今こそリーダーシップを取り、この未曽有の危機に対応するべきである。




■2002年5月24日 朝木新聞


【山梨県甲州市で、魔法少女2名の遺体を発見】


このところ続く大型有害獣との戦いで、痛ましい被害が発生した。

5月22日、場所は山梨県甲州市で、イノシシ型大型有害獣が発生、駆け付けた自衛隊によって害獣は討伐された。

そして次の日の深夜、関東の魔法少女を名乗る者から、森の中で女児2名の遺体を発見したという連絡が警察に入った。

電子掲示板「2チャンネル」にも、関東の魔法少女を名乗る書き込みがあり、警察は森を捜索、遺体を発見した。


死亡したのは、今川未来さん(11)種島美咲さん(11)で、付近で激しい戦闘跡があったことから、2名は魔法少女と思われ、22日にイノシシ型大型有害獣と戦闘を行い、敗北、死亡したものと思われる。

害獣はこの戦闘である程度のダメージを受けたと思われ、自衛隊の攻撃によって簡単に討伐された。


魔法少女が8年前に出現してから、これまでの害獣との戦闘の中で初の死者となった。このニュースは衝撃をもって日本全国で受け止められた。

今こそ魔法少女を法律で保護するべきだという機運が高まりそうである。




■2003年1月22日 新報新聞


【重い腰を上げ動き出す政府、背景に何が?】


数日前より日本政府が活発に記者会見を行い、次々に重要な発表が続いている。この動きは、大型有害獣問題に悩む世界各国も同調しており、国際的な対応により、害獣を抑え込む狙いがあると思われる。


まず発表されたのは、内閣直属の「魔法対策庁」の設置である。これまでの害獣を「魔法生物」と位置づけ、正式名称を「魔法有害獣」と決定。

通称は「害魔・ガイマ」と決定された。


次に発表されたのは「魔力適合者保護法」の提出である。魔力適合者とは、いわゆる魔法少女のことであり、彼女達が使用する力を「魔法」と定義づけ、保護・訓練・研究、に関する各種法律の制定を目指す。


第3に発表されたのは「対ガイマ警備隊」の設立である。これまでは自衛隊がガイマに対して戦闘を行ってきたが、新たに「魔法対策庁」直属のガイマ専門の軍事組織を設立することになった。当面は自衛隊出向者により運営される予定だが、後ほど独立する予定である。


いきなりの「魔法」発言だが、政府はガイマや魔法少女のような超常的現象や力を「魔法」と定義しており、世界各国もこれに同調している。

この魔法定義の根拠は「国際的な研究によるもの」であり情報源は明かせないと政府は発言している。




■2003年3月16日 日本経営新聞


【自由経済の終焉 ベーシックインカム導入は準戦時体制への移行か!?】


1か月前から政府が、次々と驚異的な経済改革案を発表している。

重大なのは金融リセットであり、全世界同時での債務帳消しが行われる。少なくとも5カ年計画で実行するとされるが、銀行の統廃合、市場の混乱など、解決すべき課題が星の数ほど存在し、現実的な計画とは思えない。


次に重大なのは、ベーシックインカム導入である。国民に一律3~7万円を毎月支給する計画で、金融リセットが行われれば、年金や健康保険を維持しつつ、この計画を実現できるだろうが、競争力は大幅に低下する可能性がある。


我々国民に直接関係が深いのが、ジョブ型雇用の採用である。これは事実上の全民間会社員の契約社員化であり、実現すれば、学歴社会は崩壊するだろう。何せ東大出であっても民間会社では契約社員にしかなれない。

保険料や年金等はベーシックインカムで支払う、そういう計画なのだろう。


そして株、為替、不動産などは、厳重に監視され、投機的な値動きは一切禁止される。これにより世界をまたぐ資金の自由な移動は困難になる。

これがとどめとなって、50年以上に渡って続いてきた、自由経済、資本主義の時代は終焉を迎えることになる。


この状況で高給の仕事へ就こうと考えるなら、公務員一択となるだろう。慢性的な自衛隊の隊員不足も解消するかもしれない。

こう考えれば、これら一連の改革の流れが、対ガイマを睨んだ「準戦時体制」への移行の準備と捉えることもできる。


我々はガイマの存在を過少評価していたのかも知れない。思えばガイマは自衛隊の監視を突き抜け、様々な場所に突然出現する。

もはや日本、いや世界全体に安全な土地など残されていないのだろう。これからガイマの攻撃が激化したのなら、不動産価格の崩壊は間違いなく、確実に世界経済はクラッシュする、それを防ぐには、この改革が必須だったのだろう。


世界はガイマを「第3次世界大戦」級の脅威と判断したのだ。ガイマと戦うために自由経済を放棄するほどに。


これから10年後の世界は我々が想像もしなかった世界となるだろう。

願わくば、日本の未来に安寧を…




■2005年6月12日 週刊毎朝


【魔法対策庁発表 魔法少女18名政府所属へ 進む拠点開発!】


去年末「魔力適合者保護法」が施行され、日本全国に呼びかけを行った所、各地に潜伏していた魔法少女達はそれに応え、以降続々と魔法対策庁・関東総本部に出頭。政府所属の魔法少女として登録を行なった。

登録者は現在18名であり、恐らく今日本にいる魔法少女全員と思われるが、まだ未登録者がいる可能性はある。

魔法対策庁としては、これからも呼びかけを継続して行う予定であるという。


「魔力適合者保護法」では魔法少女を早期に発見、育成するために、全国の小、中学校の女児に対し魔力検査を義務づける。

この検査によって魔力適合者と判明した場合、政府による保護対象と指定され、魔法に関する訓練、教育が行われる。魔法少女になってガイマと戦うかどうかは本人の意思に委ねられるようだ。


魔法少女関連の政策が進むのと並行して、対ガイマ拠点の建設も進んでいる。


魔法対策庁は、ガイマの被害が多い大都市圏を中心ととして、「関東総本部」と「関西本部」で大都市をカバー、「福岡支部」「東北支部」「北海道支部」で地方を、「支所」「対ガイマ警備隊支部」でその他をカバーする計画だ。

来襲するガイマを迎撃しつつ、これらの拠点は順調に建設を進めている。




■2005年6月15日 魔法少女捜索隊ブログ(個人ブログ)


【ついに魔法少女の素顔が公開!! 認識阻害魔法? なんだそれ?】


どうも管理人です。

伊豆山頂にて当時、女性型フライング・ヒューマノイドとして、世界で初めて魔法少女が撮影されてからこれまで、当ブログでは、魔法少女を追跡ウオッチャーしつつ、新たな魔法少女を捜索してまいりましたが、魔法対策庁の公式サイトにて、ついに政府所属の魔法少女の顔・全体写真が公開されました!

(リンクはこちら)


まあ魔法少女は、日本にしかいないのですが、これまでは顔に色々な被り物を付けていたので、もはや魔法少女名物として世界でも有名になってしまいました。

写真加工で、溶接マスクを被っていた娘は手に持っていた魔法の杖を溶接トーチに変えられたり、馬の被り物をしていた娘は、手にデカい人参持たされたり、色々遊ばれてました。


正体がバレないよう、魔法少女は色々な仮面で顔を隠していたのですが、ここに来てどうして顔を公開することになったのか、それは魔法少女が変身している時は常に「認識阻害」の魔法がかかっているのが判明したからです。


この「認識阻害」の魔法は、変身前の顔と変身後の顔を同一と認識させないよう妨害する魔法なんですね。

この魔法は強烈な効果があり、例え目の前で変身を見たとしても、時間経過と共に記憶があいまいになり、正体が誰かを忘れてしまう様なのです。


この魔法のおかげで、正体バレを防げると判断し、魔法対策庁は写真の公開に踏み切ったわけです。

それにしても魔法少女の皆さん、可愛らしくて、皆美人ですよね。

正体を知りたいと思うのも無理ないですが、変身前の姿とか撮ろうとするのはやめてください。


「魔力適合者保護法」が施行されてますので、撮影データは削除され、罰金・懲役が科せられるかも知れません。

ファンの皆さんは、節度をもって魔法少女を応援していきましょうね。




■2007年3月9日 ヤプーウェブニュース


【魔法対策庁極秘計画 その名はリニアキャノン!】


魔法対策庁の記者会見にて、密かに進められていた計画が明らかになった。

その名はリニアキャノン計画で、リニアを用いた大砲で弾丸のかわりに魔法少女を打ち出す施設だ。

「関東総本部」と「関西本部」のみに設置する施設で、現在建設が進められている。


2005年に政府所属の魔法少女が生まれて以降、ガイマ出現時には、本部から30キロ圏内は魔法少女の自力で移動。

それ以上の距離の場合は、魔力を節約するためにヘリ移動となっていたが、遠方の場合、ガイマの元に到着するのに平均30分~1時間程度かかっていた。この時間を短縮するのがリニアキャノン建設の狙いだ。


JRの技術協力を経てリニアキャノンは建設されており、時速800キロで魔法少女を打ち出す。最大射程は100キロ。同時に2名射出できる。

これにより100キロ圏内にガイマが現れた場合、平均10~20分程度で2名の魔法少女を現場へ到着させることができる。


リニアキャノンでの射出は「リニアシュート」と呼称されるが、リニアキャノンは全長300メートル、滑走距離は250メートルで、発射時にとんでもない加速とG(重力加速度)がかかる。生身の人間では到底耐えられないが、魔法少女ならば対応可能とのこと。


密かに2004年ごろからリニアキャノンの実験は行われており、2006年には着工。完成は2008年、運用開始は年末を予定している。

2009年には、我々は弾丸のように空を行く、魔法少女の姿を見ることになるかも知れない。




■2010年1月3日 ツイスター(SNS)魔法対策庁@広報


【今年も1月7日から魔法少女交流会!】

今年も関東で、「新春魔法少女交流会」を行います。様々なイベントとグッズ販売がありますので、皆さん是非いらしてください。

※売り上げは、ガイマ被災者のために活用されます。



【魔法少女大決戦2 発売まであと1か月!】

前作も大好評をいただいたゲーム、魔法少女大決戦の続編が1か月後に発売されます。

「あなたは魔法対策庁長官になり、魔法少女を派遣し日本を守れ! 教育・訓練・魔道具開発で魔法少女を強化せよ! 日本の平和は君にかかっている!」

※売り上げは、ガイマ被災者のために活用されます。









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