第五章 4-1 輝美の決着

       * 4 *



「この世界、は、……アタシが、壊す、んだから……」


 明らかにおかしな位置にぶら下がっている左肩を右手で庇いながら、可愛らしかった顔を見る影もなく腫らしたサクヤは、輝美との関係を別つときにも言っていた台詞を残して、ゆらゆらとおぼつかない飛行で空へと去って行った。

 構えを取り、それを見送った輝美は、サクヤの気配が消えたのと同時に尻餅を着いて座り、そのまま身体をヘリポートの上に横たえさせた。


「あの子は、片付けくらい、して行きなさい、よ」


 苦しそうに肩で息をする輝美の周囲には、大量のガラクタが転がっていた。

 優に百体を超えるだろう金属製のガラクタは、足の踏み場もないほどにヘリポートを埋めている。コートの裾にすら斬られた跡のない輝美は、大きくため息を吐き出した。


「歳は、本当、取りたくない、わね……」


 本当ならばサクヤを捕らえて聖邪結晶の残りと、必要な情報を聞き出したかったが、十数分にも渡るマギ=カタによる全力の戦闘は、四十歳も近くなった輝美の身体では限界で、彼女を捕らえる体力はもう残されていなかった。


「まだ、あの子たちは、戦っているようね」


 立ち上がって戦闘の状況を確認したかったが、身体を起こすこともできない輝美は、破壊を求める衝動の塊であるヤマタノオロチの気配から、それを察していた。


「ワタシにいまできるのは、あとは、これくらい」


 寝転がったまま左手の杖を天にかざし、輝美は意識を集中させる。

 目で確認することはできなかったが、障壁魔法の発動を感じた輝美は左腕を投げ出す。

 苦戦しているらしい和輝たちだが、この障壁魔法でわずかな間、上陸を妨げることができるだろう。


「あとは貴方たちで頑張りなさい、和輝」

 呟いた輝美は、体力を回復させるために目をつむった。



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