32 貧血




いつもより少し早く目が覚めた。




布団の中でぼーっとする



どこか違和感があった。



あ……来た



寝ぼけた頭が一気に現実に引き戻される。



お腹と腰にじわりと広がる鈍痛


ズキズキする頭


何も口にしたくなくなる吐き気



布団の中からそっと手を伸ばす


スマホを見る。


「……最悪」


予想より2日早くきた。



今日、部活ハードなのに……



制服に袖を通す



いつも通り朝ごはんも喉を通らない。



お水と薬だけ飲んで家を出た。









§







「川島おはよ」


「あんた英語の時寝てたやろ?」

「うん。あの先生の声眠くなるもん」


「それはそう。てか、お腹すいたね。浅野もう昼ごはん食べた?」


「んーん。でもだいじょーぶ」



口ではそう言ったけど、


ほんとはお腹がズキズキしてた。


だから食べれない。


包丁で刺されたみたい。


刺されたことないけど。


たぶん、こんな感じ。



川島にはバレないように


笑顔だけ作って席に着く。



視線をふと窓の外にやる。


コの字型の校舎。





……あ、




月島と、目が合った気がした。



心なしか彼は目を細めて、


ちょっとだけ


心配そうな顔をしてた



気がする。


気のせい、かな……




でもなぜか、胸が少しあったかくなった。









§









地区大会が近づいてる。


練習はどんどんハードになってる。



いつも以上に声も気も張らなきゃ。


自分に言い聞かせる。



チームの鼓舞もマネージャーの仕事。


鼓舞は今まで結奈先輩たちがしてくれてたけど


やめちゃったもんね。




「マネージャー、これ洗っとってくれん?」



「はあい!」


「氷、もうちょいでなくなる!お願い!」


「わ、かりましたっ!」


身体は重い。


でも、やることは山ほどある。



だから立ち止まるわけにはいかない。



「せーの__________」



給水器持ち上げた瞬間、



ふっと視界が白くなった。


あ、やばい


足元が揺れた


重力が自分だけ強くなった



みたいに感じた。



「──っ」


ガコンって、給水器を放した音。




「マネージャー!!!」

「浅野さんっ!!!」








§








どこか遠くから、誰かの声が聞こえる。


「……浅野さん、大丈夫?」


その呼び方で誰か分かった。


…月島。


ゆっくりまぶたを開ける


ぼんやりとした天井。


それと、



心配そうな月島の顔が見えた。



「……ごめん…」


「謝らないでいいから、もう無理しないで。」


「ごめんありがとう」



「もうちょっと寝とく?湯たんぽ変えてもらおうか。」


「ん」



彼の声が、いつもよりずっと優しい。



でも、その優しさが逆に苦しい



また目を閉じた。






________________________________________





お知らせです。


私事ですが、最近私生活が忙しくてですね。


7月から、

月曜、水曜、金曜の更新にさせていただきます。


大変申し訳ございません。



ほんっとーに!!ごめんなさい!!


これからもご贔屓にお願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る