28 がおー



うぅ、起きた。


くるしい。


きつい。


あつい。


さむい


「おっじゃま〜!あっさの〜!!」



__________?



「浅野?!」


かわしまだ。


声に聞き覚えがある。


うう、頭痛くて、きつい。


よく分かんない。


「浅野!?マジで大丈夫!?熱何度!?水飲んだ!?ご飯食べた!?」


がちゃがちゃ音する。


靴脱いで、すごい早足で来たっぽい。


「……んぇ……かわしま……?」


「そう!浅野の親代わりだよ!あーもうっ!!あんたの彼氏からLINE来て、びびってマップと睨めっこしながらぶっ飛ばしてきたわ!」


「あ”……あたまいたい……」


「わかったわかった、寝てて!はいこれ、ポカリ。あと、冷えピタ追加で持ってきた。あと、ゼリー。」


どんどん出てくる。


なんかお母さんみたい。


「もうマジお前、なんでよりによって人ん家で倒れるのよ。てか月島くん家でって……」


ぼそぼそ言ってるけど、やさしい。


「いまなんじい」

「今?今はね、10時46!」


「……ありがと……」


「てかあんた汗やばくない?!着替えある?」

「んえ、ないかも__________」


「びちょびちょやん。前髪張りついとるし。」


月島のお姉ちゃんのやつびちょびちょにしちゃったの__________


ごめんなさい__________


「なんで泣くん?!風呂入ろう先に!」

「やら。うおきたくない__________」

「_______あんた下着ブラつけてないでしょ。」


つけてなかったっけ__________?


んあ、ほんとだ。つけてない。


あー頭痛い。


「てか風呂入る気ないなら、せめて汗拭かせて?」


「……やら……でも……あつい……」


「だーもう、タオル借りるよ?動かんでいいけん、じっとしとき!」


ひんやりしたタオルが、額から首にかけて滑っていく。


気持ちいい。


「やば。あんたまじで火照り方エグい。月島くんよう置いて行けたな。」


「……月島わるくないもん。」


「彼氏のこと悪く言ってすいませんねえ?!」


「ごめん__________」

「なんで謝るんよ。ほんとに心配してるんやけんね?!」


なんかあったかい。


またちょっと泣きそうになる。



「ありがと__________」

「うん。ご飯どうする?」

「月島がね、とりにくか、ばななか、りんご、って言ってた」


「__________ばななは冷蔵庫横にある。鶏肉は生__________なわけないかだからえー冷蔵庫にあるはず。りんご__________野菜室かな。」


「浅野さんっ、」

「お、溺愛彼氏のお帰りよ彼女さん。」


できあい__________?


「まあとりま帰るわ。彼氏とイチャイチャすんなよ風邪引いてんだから、」


「ポカリ残りこれくらい。冷蔵庫入れとくね。ゼリーも……あ、こぼさんようにラップしとこ。……あと何かあったっけ?」


玄関で、川島がバタバタしてる音がする。


「……ほんと、彼氏持ちって大変ね。浅野が倒れて、月島くんが連絡して、あたしが来て、あたしが帰る……」


ぼそぼそ言ってるけど、ちゃんと荷物まとめてくれてるの分かる。


「……ありがと……」


「はいはい。もう寝とき。てか月島くん!」


ぴたっと足音が止まって、ちょっと声が大きくなる。


「浅野のこと、襲うなよ〜〜〜!!」


「!?!?!?!?!?」


おっきな声が玄関で響いた。



うるさい。頭に響く。


「俺は獣じゃねぇ!!!」

「あははっ!男はみんな獣じゃいっ!」


川島はもう靴を履いて、扉を開けてるっぽい。



「じゃねー浅野!またLINEするー!月島くん、マジ浅野泣かせたら許さんけんね。」


って言って、ばたん、って出てった。


……すごかった。


嵐みたいだった。


部屋が急にしん……って静かになる。


「……かわしま、うるさ……かった……」


ソファーの上でぽそっと言ってみる。


すると、台所にいた月島がこっち見て、ふっと笑った。


「ま、心配しとるってことよ。」


「……うん……」


なんか急に、空気がぬるくて。


あついわけじゃないけど、川島が言ってた「襲うなよ〜」がずーっと頭ん中に残ってて。


意味は、なんか、殺される、みたいな_____?


私、月島に殺されるの__________?!


考えてたら、眠くなってきた。


「つきしまあ」

「はぁい?」


こっちきた。


「……がおー……?」


って、ちょっとだけ顔あげて、言ってみた。



結構ほんとに意味わかんない。


でも、


「……えっ?」


固まってる月島の顔見たらなんかおもしろくなってきた。


「かわしまが……おそ……うなよーって、言ってた……から……」


だから、がおーって襲った


……そしたら。


「いや、かわいいかよ……。」


って、


月島が顔真っ赤にしてキッチンに歩いてった。


えへへ……。


ちょっとだけ、元気出た。

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