番外編⑧ 新田隆也




俺は新田隆也。故人。


生きてたら52歳かな?計算嫌いなんだよね。

苦手だし。うざいよね。計算って。


まず自殺理由が気になってる頃だと思う。


いじめ。それだけ。といえばそれだけ。


だけど。


当時の俺には耐えられなかった。




え?

内容知りたいって?吐くなよ?


1部分だけ教えてやるよ。




給食は捨てられた。頭からかけられた。


教科書は切り刻んでゴミ箱に。


体操服は夏でも冬でも水バケツに入れられてグショグショ。


カバンは切り刻んで、落書きして、ボロボロ。


机は落書きがあったり、ホチキス刺さってたり。


放課後、移動教室先で閉じ込められた。


部活では、千本ノックを体で受け止める。

避けたら+100本ノック。

金属バッドで殴ってきたこともあった。


蹴られる、殴られる。全身痣だらけ。


財布抜かれたり、盗まれたり。


便器の中に筆箱入れられた時はまじかって思った。


そんなことが。1年半。よく耐えたよ。俺。



定義なんてガバガバ。「いじり」で片付けられたし。


何が発端なのかは知らないけれど。

夏前くらいから。入学初期くらい。


本当に何が発端かはわからない。

気づいたら。そう。本当に気づいたら。始まってた。



教師だって。参加してたくらいだった。

仕事の鬱憤を晴らす為かのように。


味方なんていなかった。


2人の幼馴染にも。無視された。見限られた。



そうだよ。浅野心愛と月島凛に似てる人。


今藤 理子と、佐藤 昂汰


演劇部だった。俺は野球部。



最近できたマンション。10階ちょっとの高さ。

俺のちょっとした展望所みたいにしてた。





それが誕生日。家に帰りたくなくて暇を潰してた。


理子と昂汰が来た。


別に死ぬ日を決めてたわけじゃない。

ただ、ふと思い立っただけ。


荷物を全部床においた。


床ギリギリで。理子と昂汰の前に立った。


2人はぎょっとした顔をしてた。


最後に見るのがこいつらで、ちょっとだけ悔しかった。


『ばいばい』

「」

口パクで、伝わったのかな。そのまま後ろに倒れる。


「何してるの___?だめ_よ?」


フェンスがない屋上で良かった。


あぁ。死ぬときって、時間が遅く見えるんだって。

走馬灯は見なかった。いい思い出がないからかな。


『___や__?!___か___?!』


聞こえない。なんて言ってるんだろう。

理子、お前には届かないよ。



お前らは来るな。


あぁ。短い人生だったな。



打ちどころが悪かったのか、


いや、良かったって言うべきか?



即死。


でも痛みは感じなかった。


体が軽かった。


下を見ると、自分の体から、頭から、血が出てた。


飛べるのかな。


あ、飛べた。



理子は号泣。昂汰は笑ってる。


「隆也、隆也、なんで、なんで。止められなかった。助けれなかった。好きって言えてないよ。やだよ。戻ってきてよ。」


理子って俺のこと好きだったんだ。


昂汰、理子のこと好きだったよね。


え、笑ってる____?


「理子、理子、落ち着け、もう戻ってこないんだよ。隆也は。」


「脅されたから、って、加わらなければ、よかった。」




死ぬ前に

1回普通のがしたかった。


§



葬式が終わって、49日が終わった。


俺の体は、魂は残り続けた。


たまに学校に顔出して、学校で寝て。


っていう生活を繰り返したら、主犯が昂汰だとわかった。


理子が俺を好きだったから。

実行犯は、単に俺が嫌いで、誘われたから。



12年たった。


理子と昂汰は結婚したらしい。


知らない。




38年たった。

相談室で面白いものを見た。

情が湧いた。


守護霊になったって嘘をついた。


こいつには、味方がいた。羨ましかった。



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