雪の日にもっと冷たい機械の中へ

烏川 ハル

第1話

   

「雪は氷の結晶です。ただし冷凍庫で作るような硬い氷ではなく、やわらかい氷です。空の上で水蒸気から作られて、それが地上に……」

 背広姿の教師が教壇で、雪について話し始める。

 すると何人かの生徒が、私の方へと視線を向けた。


「はあ……」

 心の中だけで、小さく溜め息をつく。

 好奇の目を向けられるのは不愉快だけれど、仕方ないだろうという諦めの気持ちもあった。

 かつて私が目覚めた時に発した言葉「雪、やんだんだね」は、当時ネットのニュースでも話題になったという。教室の生徒どころか、この高校にかよう全員が知っているに違いない。

 そんな私が、最後に雪を見たのは……。

   

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