第7話
「緊張する?」
菊先生は優しく聞いてくれる。
「結構してます」
「ふふっ、そうだよね」
「でも、僕以外も緊張してると思うので」
「おお、大人だねっ」
菊先生は子供をほめるようにほめてくれる。
合計年齢なら多分菊先生こしてるけどね。
「ここが1-Aですっ。先生が入ってきてって言ったらドア開けて入ってくださいっ」
「わかりました」
菊先生はAクラスの全体副担任らしく、A棟の一年教室まで誘導してくれた。
先生が色々話しているのが聞こえる。恐らく男に対する注意とかそこらへん。
ハイッテキテー
「頑張ってきてねっ!」
「はい」
ガラガラガラ
「失礼します」
ドアを開けるとそこには30人ほどの生徒と一人の先生がいた。
「と、、、というわけでこの子が一条奏音くん」
パチパチパチパチ
「一条くんは窓際の一番うしろに座ってくれる?」
いわゆる主人公席ってやつですか。楽しくなってきた。
「わかりました」
すっげえジロジロ見られるわ...恥ずかし。
てか担任の先生も見てくる。先生は生徒の模範となるんだからやめてくれよほんと。
「え〜、というわけで自己紹介やっていきましょうか」
あ〜自己紹介か。何も考えてなかったがまぁ最初に言った人をパクればいいか。
「多分みんな自己紹介のことあんまり考えてなかったと思うし最初に先生からやるね」
さすが先生!!生徒の模範ですね!!!!!!
「みなさんはじめまして、戸崎真奈美です。年は24で趣味はゲーム、好きな食べ物はからあげですが、現在ダイエット中なのであんまり食べれてないです。初担任ですがよろしくお願いします!」
パチパチパチパチ
戸崎先生ね、ちゃんと覚えたぞ。こんどゲームの話持ちかけてみるか。
「じゃあ次は誰からにしようかなぁ〜」
頼む...窓際からにしてくれ...最後とか一番良くないぞ...
「多分みんな一条くんのを聞きたいと思うし一条くんのを最後にするとして」
うわ最悪。戸崎先生のこと信頼してたのに。。。
「まあ順当に席順で行くべきだよね。廊下側の一番うしろからよろしく〜」
「はい。綿貫柳です。好きな食べ物は―――」
友達を作るための第一歩、名前を覚える。綿貫さんね、覚えましたよちゃんと。
大体趣味と好きなこととかでいいのかな?
「じゃあ次、前の人よろしく」
「𠮷川出水です。趣味はゲームで」
𠮷川さん、OKOK順当に覚えれてる。
前世に比べたら格段に記憶力が向上してる。転生バフかな。
「はい、清水波瑠です。趣味は―――」
ん〜、自分の趣味ってなんだ。裕翔の前では咄嗟にピアノって言ったけど多分この中に俺よりピアノできる人居るし『趣味はピアノです!』って言ってその人より全然できなかったら恥ずかしいよな...いやでもそんなこと言ってたら何も言えないか。もう趣味ピアノでいいわ。
と、そんなことをぼんやり考えながら自己紹介を聞いていると、一人の少女が目に留まった。
「はい!一ノ瀬
パチパチパチパチ
すっごい美人...やっぱ髪型ってロングに限るよな。
じゃない...あの一ノ瀬グループの一ノ瀬?そりゃそうだよな、そんな苗字中々いないし。
やっぱ名門にはそういうひともいるんだ。
てかあと一人で俺の番じゃん
すきな食べ物はまぁオムライスでいいか。考える手間も省けて一ノ瀬さんと接点ができるなんて一石二鳥。
「じゃあ最後に一条くん!」
もうか。めっちゃ緊張するな。
「はい!一条奏音です。趣味はピアノで好きな食べ物はオムライスです。みんなと仲良くしていっぱい思い出作りたいです!よろしくおねがいします」
パチパチパチパチ
「はい、というわけで次は委員会決めていくよ〜」
よし、初動は成功だな。
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