第4話
『次は学園前〜学園前〜』
「じゃあ降りよっか」
「うん」
こっから俺の青春がはじまるのか...!
「やっぱり見られてるわね」
電車を降りたら姉さんはキリっとした性格に変わった。心なしか姿もカッコよくなった気がする。
「そうですね、楓お姉様」
そう言うと一瞬姉さんは固まった。
「い、行きましょうか」
「はい」
それにしても見られるな。やっぱり珍しい男っていうのもあるんだろうし、あの楓さんが男と歩いてる!?みたいなのもあるだろうな。さっきの後輩さんたちも姉さんのこと慕ってそうだったし、男の影もみせてなかったはずだから。
「おはよう、楓さん」
「おはよう、椛さん」
いきなりキツネ目の関西弁?を話す女性が話しかけてきた。
「えっらいかわいい子つれてどうしたん?まさか新入生をナンパでもしはったんかいな」
関西弁と言うより京言葉かな?
「そんなことしないけど」
「じゃあこの子はどないしはったん?」
「弟。ほら自己紹介して」
「ごきげんよう、今日から入学いたします一条奏音です」
「はぁ〜!ようできた子やね。私は二条椛っていいます、よろしゅうなぁ」
一条家の京都にある分家の二条家か!
だから京言葉が混じってるのね。
「二条家のお方でしたか。これからよろしくお願いします」
「一条家に男の子が居るって初めて聞いたわぁ」
「おばあ様が世間に出るまでこの家の秘匿にしておくと判断したからどの分家にも知らせてないの。できるだけ広めたくないしあんまり言わないでね」
「さようですか。まぁできるだけ守るわ」
ちょっと言葉が薄っぺらい感じするが...まぁ信頼するしかないか。
「私も学校までついていってええ?」
「大丈夫です」
「ありがと〜」
高等部の先輩に牽引されるのは悪くない。家がつながっている者同士があるいているため関係も家族と推測されやすいだろうし説明も省ける。
「そういえば中等部はもちろん入学式あるけど高等部の転入生達はあるんかいな?」
「あるみたい。でも先輩方が言うには形上だけらしいよ」
「はぁ〜、なんかかわいそうやな」
転入生はあんまり良い扱いはされてないのかな?
「まぁ大体入ってくるのは30人くらいだからあんまする意味ないよ」
なるほど、1クラス弱分増えるだけだからどデカくやる意味がないのか。
などと考えていると校門までついた。
「ここが桐ケ谷学園。あなたは今日からこの学校の一員よ」
「が、がんばります」
「も〜そんなけったいな話しなや。元生徒会長」
いつもと違って厳しい姉さんにビクッとしたが椛さんがフォローしてくれる。惚れそう。
「一条二条、いがみ合いはそこまでだ。一条奏音くんだな?」
姉さんと椛さんが喧嘩を始めようとしていると先生らしき人がやってきてそれを止めた。スーツにロングと清楚系な格好だが言い方は男っぽい。
「はい」
「こっちに来てもらえるか」
「ちょ、ちょっと待ってください草川先生。私は姉ですからついていく権利はありますよね?」
「申し訳ないが特定男子部屋に関する手続きもある。家族だからと言って連れていくことはできない」
特定男子部屋?なんだそれ。
「そ、そんな...」
姉さんは絶望する。
すまない姉さん、また会おう。
「ほら、いくで」
「うん.......」
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