第2話

 あれから7年、俺は12歳の4月を迎えた。

 今日は中学校の入学式当日である。


「え奏音めっちゃ似合ってる!」「さすが私の息子ね」


「ありがと」


 ありがたいことに美形にそだっていて制服も似合うスタイルに育った。スタイルは筋トレとかして矯正してたけど。


「じゃあ、いこっか」


「うん」


「気をつけてね〜!」


「「はーい!」」


 母さんは入学式用のおめかしをするため少しあとに出発するそうだ。なんか数学の問題みたいだな。


「一緒に登校できるなんて夢にも思ってなかったな!お姉ちゃん嬉しい〜」


 姉さんは中学校で受験をし、私立の中学校に進学した。

 俺は姉さんと同じ中学校に行きたかったため久しぶりに勉強をして、同じく中学受験をした。

 男の中学受験は稀有な例で、ここ20年で片手で数えれるほどしかいないらしい。


「姉さんと一緒の中学校にいきたかったから」


「ん〜!!!嬉しいこと言ってくれるなぁ〜!!」


 そういって姉さんは抱きついてきた。こんな美人な姉に抱きつかれるなんて本当に転生してよかったと思う。


「も〜、他の人も居るんだから」


 他の人からみたらラブラブカップルにしか見られないだろう。通行人は姉さんに殺気を向けているが、さすがに大通りで殺る人は居ないだろう。


「そういえば奏音って電車初めて?」


「そうだね、ちょっと楽しみ」


 別に初めてじゃないけど初めてと言っておかなきゃ齟齬が出るし100年後の鉄道がどれだけ進化しているのかというのが楽しみなのでこの発言だ。


「テレビで見てるとは思うけど男性専用車両もあるし痴姦とかされることないと思うし安心して乗ってね。スカスカだから椅子にも座れると思うし」


「うん...え、でも姉さんは?」


 朝の通勤通学ラッシュに俺だけ快適な電車に乗るのは申し訳ない。


「安心して、男性専用車両は同伴者3人まで搭乗可能なの!」


「へ〜」


 たしかにありがたいがそれって男性専用車両って言えるのか?

 まぁ細かいことはいいか。


「楓お姉様、ごきげんよう」「楓先輩おはようございます!」


「あら京華に紗綾、ごきげんよう」


 恐らく姉さんの後輩さん達が姉さんに話しかけてきた。さすがお嬢様学校、上下関係はしっかりしてるんだな。

 てか姉さんすごい性格かわってんな。


「せっかくですし一緒に通学しませんこと?」


「ぜひ...と言いたいところですが弟が初登校ですので学校まで導かないと行けない関係上、男性専用車両に乗らなきゃいけませんの」


「そ、そうなんですか!?てか先輩弟さんいたんですか!?」


 姉さんおれが居ること伝えてなかったのか。


「えぇ。奏音、自己紹介を」


「京華お姉様、紗綾お姉様、ごきげんよう。桐ヶ谷中学校一年生になります、一条奏音です」


 咄嗟に出たにしてはいい感じだと思う。マナー教育なんて受けてないのでマナー違反だとしても許してほしい。


「よろしくね、奏音くん」


 お嬢様言葉で話してくる京華さんが返事をしてくれた。

 京華さんと俺は15cmくらい身長差があって若干怖い。別嬪さんなお顔立ちが怖さを増やしている。


「よろしくっ!」


 元気な紗綾さんも返事をしてくれた。

 身長差は10cmくらいあるが、明るい顔立ちで怖さは感じなかった。


『間もなく4番乗り場に電車が参ります』



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