河童(3)生活教か厭世主義か?
これはつまり河童の国が芥川にとっては理想郷(嘘のない世界)であるということです。人間社会では例え悪意があっても友人を演じて見せ、本音を建て前で隠せます。それで平然としていられるし、またその様を我が鋭利な理知の力と感性以て見抜き認識し、シニカル然と、泰然として居られた。しかし正覚者の御言葉で「本音と建前の乖離はやがて自分を滅ぼします」というものがある。その御言葉を明かすが如くに、芥川はやがて自らに追い込まれ耐えられなくなって自分の造った河童の国へと、すなわち理想郷へと逃げてしまったのでしょう。
しかしその理想郷たる河童の国とは具体的にどういう所だったのでしょう。それを云うに手っ取り早いのが同国の宗旨たる「生活教」でしょう。その教えは「食へよ、交合せよ、旺盛に生きよ」と云うのですが但し、同教の大伽藍に聖人像として祭られているのが人間界のストリントベリイ、ニイチエ、トルストイ、国木田独歩、ワグネルなど自殺未遂をした人物かあるいは気狂い然となった者など、とにかく自分が奉ずるものと自分の実態との間に甚だしい乖離を覚えた人物たちが、謂わば芥川と同類項と云うか少なくも彼が非常に共鳴した人物たちばかりが祭られていたのです。しかしこれはいったいどういうことでしょうか?生活教の宗旨はそんな愚にも付かぬ厭世・自殺指向などを捨てて、ただ「食へよ、交合せよ、旺盛に生きよ」だった筈。前期の自殺した詩人トック君の存在と云いこれは明らかな矛盾です。では果たしてこの河童国は芥川の理想郷ではなかったのか…?
https://x.com/i6U3xYCHFkPR8B6/status/1977723877515046954(ツイートのURLです。コピペして。絵が見れますよ)
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