転生した天気オタクは凄い農家と農業を
星夜とも
第1話 転生した天気オタク
俺は夢を少し叶えた22歳の天野空来。空が好きで空の研究をしている。中でも天気が好きだ。どのくらいかというと小1のときの将来の夢の作文をみんなはパイロットとかケーキ屋さんとか言っている中で「空と同じになりたい、空になりたい。」と言って後日カウンセリングを受けさせられたほどだ。ちなみに今も空になりたいと思っている。本気で。そんな俺の生活は周りから見ればひどいものだったと思う。朝起きたら研究所のソファ。起きたら散歩。お気に入りの丘に立って一人で静かに朝日と共に空を眺める。ちなみに今日は雲一つない晴天だ。その後風呂に入って研究。俺にとっては幸せな生活。それがずっとあるはずだった。だが今日から違ったらしい。なぜなら朝日と空を眺めているときに言ってしまったからだ。「空に行きたい。」たったそれだけ。ただの独り言だったはずなのに。どうやら空には聞かれてしまったらしい。その後俺は目の前が真っ暗になった。あぁ、ちゃんと先輩の言うこと聞いて、寝ればよかった。ちゃんと朝ご飯食べればよかった。そんなことを考えながら、俺は死んだと思った。空が俺を迎えに来た、空に行くのだ。
目が覚めたらふかふかの草の上にいた。どこからか騒がしい声が聞こえる。起き上がって声の方向を見ると村のようなところからなようだ。天国にしては物騒な声だと思う。とりあえず俺は村に向かった。だが俺は後に後悔することになる。
「俺のダイコンを食らって立っていたもんはいねぇんだよ!!!」大柄な男が物騒なことを言いながらその男よりも大きなダイコン(?)で大きな獣に攻撃をしている。どういうことだろうか。ここは天国ではないのかもしれない。あとそれダイコン??そんなことを考えていたらいつの間にか目の前にさっきの獣がいた。「ヒッッ」声にならない声を出した気がする。それよりもうやられる。「ッ…?」俺は攻撃に身構えていたがいつになっても牙は当たらない。そっと目を開けるとさっきとは別の大柄な男が立っていた。「にーちゃん無事か?」そう尋ねられたが俺はそんなことよりも男が担いでいる大きなカブが気になってしまう。「ん?この辺のもんじゃねーな?にーちゃんどこのもんだ?」また聞かれた。普通はお礼ぐらいすぐに言えるのだろうが、俺の友達は昔から空だけ。話す人といえば研究所の先輩ぐらいだ。だからお礼一つ満足に言えない。それじゃだめだ。変わらないと。…ん?待てよ、今この場には俺を知っている人は誰もいない。ってことは今が変わるチャンスだ!!!よし、大丈夫、喋ってやる。「たッ、助けてい、いただきありがとうございますッ。」あ、だめだ。人は簡単には変わらないよな。うん、でもよくお礼を言った。えらいぞ俺。「ははは!農家は助け合いだからな!」優しい人だ。農家だとは思えないけれど。いや、偏見はよくないよな。
ん?獣が立ち上がってこっちにむかって…って農家さんが危ない!!「危ない!!」
俺は何もできない。だけど必死に叫んだ。その瞬間、俺の手から雷のような大きな電撃が出て獣が倒れた。俺が…?こんな天気オタクの俺が…?それより農家さんは!?「農家さん大丈夫ですか!?」「お、おう。にーちゃんの想能力に助けてもらッたからな」ソウノウリョク?なんだそれ。「あの、それって、」聞こうとしたのに、俺は目の前がまた真っ暗になった。「おい!!!にーちゃん!?」そんな声が聞こえて、返事をしたかった。だけど無理みたいだ。次に目が覚めたら、きっとまた研究所のソファだろう。
「…ん、ここは…?」俺は目が覚めた。だけど、ここはソファじゃない。どっかのベッドだ。「お、目ェ覚めたか!」あの時の農家さんだ、まだ天国(仮)にいるようだ。「ま、また、助けていただきあ、ありがとうございます。」とりあえず助けてもらったのだからお礼を言う。そのくらいはできる。いやです!できてないとは言わないで!!「にーちゃん名前は?ここらへんじゃ見ない顔だけど」そうだ、こんなこと考えてる場合じゃなかった。「天野空来、えっと、22歳です。東京の天気研究所で働いてます。」よし、ちゃんと言えた…んだけどさ。農家さんが首をかしげてる。
「あー、にーちゃん…じゃなかった。アマノソラ、トウキョウってなんだ?」…え?「東京は東京ですよ、あとフルネームじゃなくて気軽に空来って呼んでください。っていうか農家さん!ここどこなんですか!?」一気に言い過ぎた。農家さんが若干引いてる。「す、すみません」農家さんを困らせちゃだめだろうが!俺!「い、いや。オレもすまねェ。ソラが言うトウキョウを知らねェんだ。後で同じようなこと言ってたやつが村にいるから話してみてくれ。」東京を知らないだなんてそんな人がいるんだな。「それと、オレの名前はノウカサンじゃなくてカミヤだ。よろしくなソラ!」
「よろしくお願いします!カミヤさん!」よかった、知らない土地で知り合いができた!「それとなぁソラ。ここはイハーブ村だ。だいたい50人ぐらいいる。」「なるほど!イハーブ村だったんですね!全く聞いたことがないです!どうしたらいいんですか、、あ!スマホ!ないんだけど!持ち物全部ない、どうしようどうしよう!!」
「お、オイ。ソラ?どうしたんだよ、と、とりあえず落ち着けって…」どうしよう、どうしよう!まだ研究途中だったし!!「いやもう帰る!ここどこだよ!俺はどっかの転生主人公かよ!もう本とかでしか聞いたことねぇよ!!いや絶対に無理だからな!あーもう空に行きたい!!現実逃避したい!!いやそれより戻りたい!誰か助け、て、、」あれ、?扉の前に、少女がいる…やばい。俺の好みドンピシャ。ロングで胸が小さめ…好き…「き、君は誰…ヘブッ!!!」な、なんだ?なんか頭に当たったんだけど、痛い。「お前騒ぐな!!うるさい!実に不愉快だ!」前言撤回!!こいつ嫌いだ!「すみませんでした!でも急に桶投げないでもいいじゃないですか!っていうか何で桶なんだよ!俺は芸人じゃねぇぞ!研究者だよ!それでなんだよお前は!!」
「私はリオラだ。ウミノ・リオラ。お前は?」ふーん、ウミノリオラ…ね。
「俺は天野空来だ。あ、すみませんカミヤさん。こいつ何ですか?」「こ、こいつがさっき言ったトウキョウをたぶん知ってるやつなんだが…」こいつが…か。「ソラ、ちょっと耳貸せ。」「あ、はい。」カミヤさんに耳を近づける。「こいつはちょーっと変わってるやつでよ。まぁ、悪い奴ではない。お前は出会いが悪かっただけだ。」そんな風には見えないけどな。本当に。「よし!リオラはソラにいろいろ教えてやってくれ!それと歳も近いようだし仲良くしろよ!じゃあオレは隣の部屋にいるから何かあったら呼べよ!んじゃ!」「ちょっと待ってくださいカミヤさん!こいつとは仲良くできません!嫌です!」「それはこっちのセリフだ!カミヤ先生!あなたがこいつに教えてくださいよ!!こんなバカ男嫌です!!」「俺だってお前になんて教わりたくねーよ!桶女!」「誰が桶女や!そもそもジブン何やねん!イヤらしい目で最初見てきやがって!この発狂変態男が!!」「そ、それは…その、」「ん~?なんて言うとるのか聞こえへんわ~」もう無理だ、こいつとは仲良くやっていける自信なんて一ミリもない。「おーおー仲がいいようだな!はっはっはっ!」「あーー!!いっちゃった、、、」「私は発狂変態とは仲良くしないと決めてるからな。」「うぐっ、お、俺も桶女なんかと仲良くするつもりはない。」こいつ黙ってたらかわいいのにな。…は?何考えてんだよ。こんな桶女なんて嫌いだ!っていうか「いい加減ここは何なんだよー!!!」
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