第29話 ブリガンティン

わたしたちは5日後、再びウォルシーへ戻った

今回は大所帯だ

前回の面々に加え、エルナおばあちゃん、筆頭魔導士グーグ、その弟子ワイス、筆頭騎士ウェブリュー、エルフ姉妹のララとノア、エルナおばあちゃん専任メイドヴェラと7人も増えた

エルナおばあちゃんは出発前に甥の王キースさんへ経緯と船と船員のお願いの文を出していた


ウォルシーへ着いた翌日に、さっそくガンさんの家へ向かった

前の通り、ラングドシャを一箱渡してエリーさんへの繋ぎをお願いする

「来ると思ってた。あんたらが来たら伝えてくれと言われてる。明後日前回と同じ時間、場所でとの事だ」

「分かりました」

わたしはそれを聞き、いったん別邸へ帰った

魔砲の弾の製造と港湾組合の人と会う為に、別邸へ残っていたエルナおばあちゃんに話す

「明後日、15時にさざ波亭でエリーさんと会います」

「明後日15時だね。わたしもついていこう」

「はい。前回と同じなら店内ではわたしとお婆さま二人だけになります。危険はないと思いますが用心をお願いします。あとこれを使ってみてください。」

わたしはエルナおばあちゃんへ西部劇みたいなガンホルスターを手渡した

「これは?」

「魔砲と弾を入れて動きやすくするベルトみたいなものです。」

「弾も入れるところがあるんだね。考えたね。」

わたしが考えたわけではなく、先人の考えたものなのだが黙って聞いた

エルナおばあちゃんはさっそく魔砲と弾を入れ、ホルスターをつけた

「いいじゃないか。ありがとうユーディ!」

気に入ってくれたようで安心する

「あー、あと港湾組合と話をつけた。停泊場所とドックの使用許可もとったからね。」

「ありがとうございます。これで船が来たら改造出来ますね。」

「じゃあ、わたしはグーグのとこに行ってるよ」

わたしは歩いていくエルナおばあちゃんの背を見ながら、明後日のことを考えていた




二日後、わたしはエルナおばあちゃんとさざ波亭にいた

目の前に、エリーさんがいる

「まさかエルナ殿下が来られるとは思いませんでした」

「領主や公爵家は関係ない。条件は飲む。わたしの一存で決めた。島はわたしが命を懸けて保証する。だがメルダース海賊団員の保証はお前が嘆願した人物のみ保証することにする。わたしらは誰がメルダース海賊団か判らないからね。あと金はこれだ。これでいいかい?」

「いいでしょう」

そういうと2枚の大金貨を懐へしまい、エリーさんは立ち上がり言った

「殿下たちは今からお時間はありますか?」

「何故だい?」

「お嬢ちゃんと話してた、ブリンガンティンを引き渡します。島まで取りに来ないかと思いまして」

「分かった」

店を出ると、エリーさんの側に男がいてなにか話している

わたしたちにもゴスリングさん、デイジー、るーちゃん、ウェブリューさん、ヴェラさんが寄ってきた

エルナおばあちゃんが島へ行く旨を告げる

ヴェラさんに別邸へ言伝を頼むとヴェラさんは走っていった

エリーさんはわたしたちの話が終わったのを見て、港のほうへ歩き出した

わたしたちもその後ろへ着いていく

やがて潮の香りが強くなっていき、停泊している多数の船が見えるようになってきた

時間帯のせいだろう、人がまばらな露天市を抜けて桟橋の埠頭まで来た

停泊中の多数の船を見つつ歩いていると前のエリーさんの足が止まった

「乗ってくれ」

全長15mほどの船を指した

2本のマストに縦帆、前のマストにガフセイル

小型のスクーナーだった

わたしたちが船に乗り込むと水夫が10人ほどいた

「このスクーナーはね、足が速く水夫が少なくていいから移動や輸送に使ってる」

エリーさんは甲板を歩きながら言った

船長室?についたわたしたちへエリーさんは言った

「多数がゆっくりできる部屋がないから、この部屋で我慢して欲しい。何すぐ着く。」

「分かった」

エルナおばあちゃんの声を聞くとそのまま部屋を出ていった



わたしたちは3、40分くらいだろうか?船に揺られた

エリーさんが部屋へ入ってきて「もう着くから準備を」といいまた出て行った

外へ出ると島々の中を航行していたが、目の前の島へ向かっていることが分かる

やがて向かっていた島の入り江の桟橋につく

わたしは桟橋に降りる前から3隻の船に目を奪われていた

特に1隻の大きいブリガンティンが目を引く

全長50mクラスだろう

目を奪われるわたしにエリーさんが声をかけた

「お嬢ちゃんのは小さいほうだよ」

わたしは小さい2隻を見るがそれでも大きい

このスクーナーの倍の30m超えのサイズだ

前にエリーさんが言った通りなら、1隻がブリガンティンでもう1隻がスノーだろう

わたしたちはエリーさんに右端に泊まった船へ案内された

案内される通り、乗船する

船には10人ほどの男が並んでいた

「このブリガンティンがお嬢ちゃんのもんだ。この船はオプスキュリテというが気に入らなかったら名前を付けてやってくれ。あと操舵主のルッツと水夫10人を貸す。すまないがこの人数が精いっぱいだ。」

「十分です。ありがとうございます。」

「ルッツはこの船に詳しく、腕もいい。信頼していい。」

「分かりました。また連絡します」

それを聞くとエリーさんは船を降りて行った

「皆さんよろしくお願いします。ではウォルシーへ戻りましょう」

わたしが言うとルッツさんと水夫さんたちは持ち場へ走った

デイジーが耳打ちする

「オプスキュリテ(闇)という名前はお嬢さまにぴったりです」

「まさにね」

わたしは帆を張り、ゆっくり動き出す船を感じながらそう答えた

ウォルシーへ着いたオプスキュリテ号はさっそくドック入りとなった

装甲と魔砲用の回転台座の設置、帆の張替え、船内の改造と多岐にわたる

エルナおばあちゃんのキャラック船が来るまでに完了しなければいけない

魔砲用の回転台座の設置は最優先で行ってもらうようお願いした

併せて水夫の募集もかけた

ルッツさんに話をしたところ、このサイズのブリガンティンなら水夫20名は最低必要で航海士、船大工、船医も必要とのことだ

あと別で白兵用の兼任水夫も10~20名程度雇っては?と提案された

水夫20名、兼任水夫10名、航海士、船医、船大工1名ずつ、3食給金付きで募集をかけたところ、かなりの人々から応募があった

るーちゃんとゴスリングさんと操舵主ルッツさんとルッツさんが水夫長へ指名した最年長のモスさんの4人がが面接官として応募者の対応へ当たってもらった




10日ほど経ち、わたしはるーちゃんたち面接官4人と席を囲んでいる

左眼にアイパッチをしているいかにもな水夫長モスさんが話す

「公爵家の名前が効いとります。応募者は多いっすが冷やかしも多く。。。」

「虚言がなく見どころがあれば雇いましょう。ただ飯ぐらいは放り出すだけ。面接の時に話してもらってるでしょう?船や海に詳しいあなたたちの人を見る目に期待します。」

「ハッ」

「それにお婆さまの船の水夫も必要になりました」

「船が増えるのですかい?」

「お婆さま用のキャラック船が1隻増えますので水夫の増員をお願いしたいと思います」

「分かりました。雇う水夫を20名ほど増やします」

「お願いします」



わたしは船が完成するのを待った


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