Scene12 あかりは演算師の思考に置いていかれて、予言を授かる
その後、ロゴス様が
結局、最後まで演じてみても、何がロゴス様の「思った通り」だったのか、私には分からないままだった。
「ロゴス様ぁ。結局、何が目的であんなお芝居をしたんですか?」
「
ロゴス様は逆に問い返してくる。
「うーん……。やっぱり、小説家だからか、表現がやたらと回りくどいなあ、とは感じました」
私は思いつきを言った。
「そう、最初の発言一つを取っても不自然だ。『俺が同業者の友人たちと夕食を食べに出掛けている間に』ってわざわざ細かすぎる状況説明をしてしまっている。態度では怒鳴ったり、扉を蹴破ったりと、純粋な怒りを表現しているのにね」
ロゴス様は満足そうに頷いて言う。
「感情的になっているときに、必要のない状況説明をすること自体が不自然だ。自然に口から出たとしても、
「えっ、えっ、でも……」
私にはまだ、ロゴス様が何を言いたいのか理解できない。
「
「そうだよ。つまり……」
と、言ったところで、ロゴス様は唐突に立ち止まった。
「ごめん、
「
私がそう尋ねると、ロゴス様は少し気恥ずかしそうに頭の後ろを掻いた。
「いや、その……。
そういえば、ロゴス様は
私は思わず
「すぐに戻るから。ごめんね」
ロゴス様はそう言って、
私はにこにこしながらマンションを出て、ロゴス様の車に戻る。
あっ。ロゴス様が
仕方ない。戻ってきたら、真っ先にそれを訊こう。
そう考えていると、ロゴス様は足早に走ってマンションから出てきた。
そんなに急がなくても、私は怒ってないのに。
「おかえりなさ……」
私が言い終える間もなく、ロゴス様は車に乗り込むなり、すぐにエンジンを掛ける。
「ああっ、くそっ。どうしてもっと早く気づかなかったんだ……」
ロゴス様は珍しく、感情的になって呟いた。
「紙谷さんだ」
「……
私は意味が分からず、辺りを見渡す。もちろん、近くに
「彼女がどうしたんです? まさか、彼女が犯人なんですか? でも……」
ロゴス様はさっきまで、
「急がないと……、次は紙谷さんが殺される」
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