君は風 音も匂いも あたらしく ここに根を張る 私を揺らす
碧月 葉
灰かぶり 痛むつま先そっと撫で 直ぐまた明日を始める私
時計を見ると、間もなく“シンデレラがおうちに帰る時間”になっていた。
警備をセットして会社を出る頃には、新しい日が始まる……ここ数日こんな感じ。
「2ヶ月、妻と生まれてくる子どものために休みを頂きます!」
そう宣言して、経験年数の長い後輩が育休に入ってから2週間がたった。
心から応援はしている。
女も男も、当たり前に育児を担う時代の到来は歓迎する。
だから、後輩が気持ち良く休みに入れるように、会社の掲げる「休みを取得し易い職場の雰囲気づくり」は頑張った。
でも、正直人が足りていない。
チームのメンバーにこれ以上の負担を強いる訳にはいかず、リーダーの私はこうして必死に空いた穴を埋めている。
首が痛い。目も霞むし、ヒールに押し込めているつま先はじんじんする。
家に帰ってメイクを落とせば、きっとまた「くだびれたおばさん」を見る羽目になるだろう。
仕事を選んで、大好きだった彼と別れたことを痛い疵にはしたくないのに……。
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