君と僕は奏でるように、新世界を物語る。

舟津 湊

プロローグ『やくそく』

 あした、しょうがっこうに、にゅうがくする。

 

 六ねんまえ、わたしは、ひとりでうまれてきた。


 ほんとうは、おねえちゃんといっしょに、うまれてくるはずだった。


 なにもできなかった。


 わたしにかってくれる、ぬいぐるみが二つだったり、

 つかっていないへやに、ベッドや、タンスがあったり、

 なんとなく気づいていたけど。

 パパとママがちゃんとおしえてくれたのは、一しゅうかんまえ。


 おもいだす。

 ママのおなかのなかにいたころ。


 わたしのとなりに、おねえちゃんがいて、おでこをコツンコツンしてあそんでた。

 ふたりとも、それに、むちゅうだった。


 あるひ。おねえちゃんは、こころのなかでバイバイといって、それっきり。 

 そして、わたしは、ひとりでうまれた。

 あのとき、ほんとうに、なにもできなかった。

 いまでも、くやしい。


 なんで、わたしだけうまれたの?

 わたしじゃなくて、おねえちゃんがうまれていたらよかったのに。


 いや。

 いっしょにうまれたかった。いっしょにあそびたかった。


 あしたから、わたしは、がっこうにいく。


 これから、いっぱいべんきょうして、

 

 さがす。みつける。やくそくするよ。

 

 おねえちゃんをいきかえらせる、ほうほうを。


 これからのわたしは、六ねんまえのわたしじゃない。

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