第35話 あの懐かしい海の駅

 暗闇で懐かしい音が聞こえた。あのザーーーー!という水の中を突き進む音だ。そして俺は、目を覚ました。


「はっ!」


周りを見渡すとそこはあの電車の中だった。席には、不死原達が座っていた。シェイラと出会った海の上を走る電車だ。懐かしいなあ……。懐かしさに俺は浸る。


死んだらやっぱ、この電車に乗るんだな。

懐かしいと思ってるひまがあるなら、あのときのように、駅で降りれば!


「降りれば! 復活できるぞ!」


「いや……無理だ、シェイラがいないとこの電車は天国まで止まらないぞ」と不死原が言う。


そりゃそうか、鉄道の神がいないと言うのは、運転士がいないと同じだからだ。運転士意外の人は鉄道を操作してはいけない。

これは、シェイラが生きて帰ってくるのを願うしかない! あの子なら約束どおり来てくれる。


「シェイラ来てくれ……」

すると……突然!


「ゆうさん! 来ましたよ!」

シェイラが目の前に現れた。初めて出会ったあのときのように。あとすいも同じく、そう現れた。


「どうやって来たんだよ……シェイラ……」


思わず俺は涙を浮かべる。声にも泣いてる感じが出てしまってる気が。俺が大好きなシェイラが生きて帰ったことに、うれし泣きは普通だ。誰でも大好きな子に生きててほしいだろ。


「私は、召喚した電車の中にだけワープできるんですよ!」


だからか、初めて会ったとき突然現れたのもその能力のおかげか! この気持ちは、刑事ドラマで密室殺人のトリックが流れて、なるほどって思ったときに似ているな。


「すいさんも、同じ能力を使ったんですね!」

「かなでー! ごめんね痛い思いさせて……」とすいは涙を浮かべてしまう。

「すいさんは悪くないですよ」


かなでとすい本当に仲いいな……。すいの、気持ちよくわかる、一度は死んでしまった人に会うなんてどんだけ夢かをな!


「て……どうやって勝つ気なんだ? 祐介!」

突然、不死原が座席から立ち上がり、そう言う。


「わかんね」

俺がそういうと、彼はこけそうになっていた。


「そんな軽くいうな! 祐介! そんなんじゃなんど、戦っても勝てねえ!」


すると、りねが口を開けた。


「すいさん何の神の能力でも使えるんだよね……相手からしたらだいぶ、だる〜だろうね」


「それ使えるな!」

りねよくやった! すいの能力を使えばなんとかなるはずだ。やはり、この世界の最強はあなどれない。


「まもなく神のエクルシア……神のエクルシアです。お降りの際は足元にご注意してお忘れ物のないようお支度ください。それでは快適な旅を楽しんでください」


電車は海の上にポツンとある小さな昔ながらのあの駅に着いた。俺が転生するときに降りた神のエクルシアの駅だ。


 プシューと音をたてゆっくりと電車の扉は開く。

俺達は、さっと電車から駅に走って降りた。物語の神が神のエクルシアの世界で暴れるのを一秒でも早く食い止めるためだ。


期待いや、絶対勝ってやる心を胸に不思議な改札を……。


俺達は、通 っ た 。


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