第8話 ジョブ選択
この世界は、レベルがあるらしい。レベルが上がると、ステータスもアップして強くなっていく。割り振りは、自分でやるという。
「ステータスって、どうやって確認するんです?」
なんか小説とかアニメだと、「ステータス、オープン」とかやってるけど。
「ドッグタグの裏側を、触ってみな」
タグを見てみると、不思議な模様が掘られていた。これを触ればいいのか。
「はい。ゴシゴシと。おお」
今や「ステータスオープン」とかって、誰でもできるんだね。異世界人だけの特権じゃないんだ。
ボクのレベルは一三だな。
「まだ序盤も序盤、駆け出しってところかな」
他の冒険者たちが、ざわついている。
「一三って、バケモノかよ」
ガルバでさえ、ボクにビビっていた。
「オレなんて、まだ七だぜ」
「わたしは四です」
ガルバとアザレアでも、それくらいのようである。
ボクって、そんなにやばいレベルなの?
「パロンのレベルは、どれくらいなの?」
「ワタシで、レベル二二ほどかな?」
ちなみに、クコでもレベル二三ほどらしい。
「あのね、コーキ、レベル一〇を超えた冒険者って、この世界だと中堅くらいだからね」
「そうなんだ」
古いゲームだと、そうらしいね。
異世界転生者というと、冒険者ギルドで主人公がよく絡まれると聞く。そんなトラブルを避けられたのは、パロンとクコがいるからかもね。
どうしてこんなに強くなったんだろ?
「おそらく、キングボアを眠らせたからだよ」
「あれって、倒した扱いになるんだね」
「そうみたい。あんなレベルの上げ方、初めて見たけど」
ボクたちが話していると、アザレアとガルバが驚いていた。
「キングボアだって!?」
「レベル一〇を軽く超える、バケモノだよ!」
そんなに強い、モンスターだったのか。
「そりゃ、コーキのレベルが高いのもわかるな。とんでもないヤツとパーティを組んでいたのか」
「まあ、【ジャイアントキリング】だろうけどね」
ジャイアントキリング?
「それって、なに。パロン?」
「自分より強い相手を倒したときは、通常より高い経験値を得られるんだ。コーキとキングボアは、それだけ実力に差があった」
だから、より多くの経験値を獲得できたってわけ。
「なるほど。ジャイアントキリングが原因なら、コーキがそれだけ強いのもうなずける」
「でも、装備とか戦闘力は、全然違いますよ。ガルバのほうがずっと強いですよ」
「オレは、戦闘特化型のビルドだからな」
ボクはレベルが上っているとしても、戦闘タイプにするか魔法タイプにするか、迷っている。
戦闘に耐えられる身体なのかどうか、謎だ。かといって魔法タイプにすると、他のみんなを守れないかもしれない。
「どうすれば、ボクも強くなれるのかな?」
「コーキ。ジョブでどうすればいいか、決めればいいと思うよ」
この世界には、『ジョブ』というシステムがある。ジョブを選ぶと、その職業に沿った恩恵を受けられる。
「ジョブは、どうしようか?」
「パロンのジョブって?」
「わたしは『アルケミスト』だよ」
本来パロンは、『ウィッチ』という魔女を表す職業になるはずだった。が、素質がなくて錬金術を操るジョブにしたらしい。それでも、エルフ族の魔女からは一目置かれている。
「クコは『ドルイド』だよ」
ドルイドとは、宗教的な『祭司』を指す言葉だ。この世界のドルイドは、自然界を統率する存在だという。
「オレは、見ての通り『ファイター』だ。戦闘しかできないが、ヘイトを集めて壁役も引き受ける」
ガルバは、ファイターと。
「わたしは、『レンジャー』です。弓矢で遠距離から攻撃をするのと、ハーブで回復も担当します。ですが、魔女さんの足元にも及びません」
アザレアは、レンジャーという職業らしい。
「とんでもないよ。ワタシはエルフなのに、弓なんてからっきしだから」
「なにをおっしゃいます。魔法使い職と言えば、三色【ボルト】じゃないですか」
三色ボルトとは、炎・氷・雷の【
「別に三色ボルトなんて、珍しくないよ。当たる確率が高い、ってだけじゃないか。射撃精度の高さで言えば、君たちレンジャーのほうが強くなっていくよ」
精密さは高いが、威力の低さが気になるらしい。
「しかし、魔法の熟練度に応じて、威力は上がっていきます。武器威力が固定されている弓矢使いからすれば、うらやましい限りですよ」
「そうかなぁ?」
パロンとアザレアはお互い、ないものねだりになっている。
「ところで、コーキはどのジョブにするか、決めた?」
「この、『シャーマン』ってのにするよ」
シャーマンはドルイドと同じく、【スピリット】という自然界の加護を受けられるジョブらしい。
攻撃系のドルイドとは違って、シャーマンはヒーラー・壁役寄りだ。成長すると、回復や攻撃に使えるトーテムが使える。
また、動物たちを引き連れられる「ペットビルド」を組めるという。
仲間が増えるのは、いいかもね。あと壁役が今はガルバだけなので、ボクもお役に立ちたい。
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