第10話 不倫関係


 俺が不妊の原因?

 そんな事で俺は怜奈を苦しめていたのか? 


「だいぶ塞ぎ込んでたからね、優しく介法してあげたんだ。そしたら彼女、僕にかなり懐いてねえ。遂に一線を越えてしまったんだ」


 一線…、嫌だ聞きたくない!

 そう思っても来田の口は止まらない。


「したんだよ僕たちは。ホテルで一晩ね」


 聞いた瞬間俺は膝から崩れ落ちた。

 まさか怜奈が、こんな男と、肉体関係を持っていたなんて。 


「その関係をしばらく続けていたら、怜奈くん、"妊娠"しちゃったんだ。もちろん僕は育てるつもりだったよ。でも怜奈くんが僕を拒絶してしまった。怜奈くんは僕から離れようとした。だから僕は怜奈くんを殺したんだ」


 怜奈が妊娠…?

 どうして俺でもない男と。

 しかもそれだけで、殺すだと。


「いやぁ、まさに自業自得、因果応報だよねぇ!僕から離れて君のもとに帰ろうとしたんだ!殺されて当然だろ!ギャハハハハ!」


 狂ったように笑う来田に俺は恐怖さえも覚えた。

 もうコイツと関わりたくない。

 そう思ってしまった。


「だから大気くん、君も同罪だ!出所したら必ず殺してやるよ。助かりたいんだったらせいぜい出所できないような努力をするんだな!」


 来田はそう言い、俺を嘲笑うように面会室から出ていった。

 俺は聞かされた事実の衝撃から、意識を保つことができず、警官に肩を貸してもらいながら面会室を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る