Chapter 5

人工惑星本番の作製から11年立ち、一旦コールドスリープから目覚めた。

状態を確認するためである。

目視では、順調に見えており、監視しているデータも問題は無い。

しかし、降り立つにはまだ時間がかかりそうだ。

予定通り、100年、最低でも50年は必要だろうか。

期間が曖昧になっているのは、成長促進装置のデータが火星サイズのため、地球規模サイズでは少し時間が掛かるという結果しか出ていない。

何時になるかと言われると判らないため、シミュレーションはもうせず、実際にどうなるか観察していくこととした。


地球から入植してくる人の移動がそろそろ始まるとは思うが、現状についてどうやって伝えるかとなっていたのだが。

これについては、この11年の間に連合組織が動き、銀河系内に通信基地を建設。

今は音声通話のみとなっているが、地球と通信できるようになっている。

……と、これは起きてからリンに説明を受けた話となる。


月基地に居る時に10年立ったらこっちに送ってもらってもいいとは言ったが、コールドスリープで当面は眠りについてもらう他ないだろう。


これ以外は特にないため、私は再度コールドスリープで眠りについた。


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AR空間内でリンが出してきたデータを見ていた。

人工惑星の大きさは地球よりちょっとだけ小さいがほぼ同等である。

気候や大気成分等、地球と同等である。

自転周期は25時間である。

重力は、少し小さいので0.95G になっている。


シミュレーション上では銀河系の渦に乗せる事が出来る様だが、こちらも問題が無く銀河系中心部に対して公転を開始している様だ。

そろそろルージュとブルーは南極と北極に設置をしても大丈夫みたいなので、行動に移ってもらう事にした。

人工惑星内でもアドヴェンと通信は出来るが、1人では寂しいからとキャサリンとイリヤはそのまま、それぞれの艦の中でコールドスリープについている。

2人とはコールドスリープに入る前にお互いに抱きしめあいお別れをしているが、寂しくないと言えばうそになるだろうか。

……お別れと言っても、人工惑星に降りれるようになったらまた会う事が出来るとは思っている。


ルージュとブルーは位置に付く。

位置に付いている間は照射を一時的に止める必要があるが、問題が無く、設置完了となった。

照射を始めると、リンゴのような形で大気保護バリアが形成された。

予定通りではあるが、中はどうなるかは観測していくしかない。


リンからの採取データを見ていると、奇妙なデータがあった。

太陽系にもない、未知のエネルギーが存在しているみたいだ。

これが何なのかは、今のところ分かってはいないが、追々調査が必要になってくると考えている。


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100年近くが立った。

データ上は人が降り立っても問題が無いと示している。

私とポールはコールドスリープから目覚めた。


再度コールドスリープについて90年ぐらいだろうか…AR空間では毎日会っていたのに、実際に会うと少し恥ずかしい気分になった。

データ上は問題が無くても実際はどうか判らないため、アドヴェンで人工惑星に降下する。

リンの操縦で降下をしている間、私とポールは手を繋ぎ、体を寄せあった。


大気保護バリアの影響で、南極か北極からしか入れないみたいで、照射していない方から入る事になる。

アドヴェンで人工惑星を隅々まで周り、また外に出てみたりもしたが、地球と変わりが無いようで、これなら入植しても申し分無いだろうと判断した。


宇宙空間に戻り、連合組織側と通話し、入植を開始すると連絡した。

この90年の間に映像での通話が出来る様になったみたいだ。

映し出されているのは老婆で、連合組織側の代表である。

90年も有れば人が変わっていても仕方が無いが……どこか見覚えがある人物であった。


「……そう、もう入植できるのね」

「はい。これで人工惑星作製のミッション完了になります」

「そうね。私も若ければ行ってみたかったわ」

「そうですね。是非ご覧になっていただきたかったです」

「ふふっ……私ももう140歳を超えたから無理よね」

140歳!と私は驚いた顔をしたが直ぐに元に戻り、どう答えたものかと考えたがいい言葉が思い浮かばない。

というより、地球で140歳まで生きれるのは、すごい事だと思う。

「140歳以上って、すごいですよね。地球だと120歳ぐらいまでは聞いた気がしますが」

「ええ、そうよ。でも私、地球じゃなく月に居るのよ」

「そうなんですか」

「ええ……そういえば代表としか名乗っていなかったわね。私はメイヤー、マリア・メイヤーよ」

「え……まり、あ?」

「ええ、そう。貴女、もっと早くに気づきなさいよ!」

目の前にいるのは月基地に残ったマリアであった。

気づけって言われても変わりすぎていて流石に無理があるだろう……と言えばいいのだろうか。

私が驚愕しているとマリアは「そちらはお元気そうよね」と言い、私は我に返り昔話に花を咲かせた。


100年の間、地球での情勢は変わり、連合組織は崩壊はしていないが、元からいた人間達は全員犯罪者として逮捕されることになった。

それを機に月基地側に権限等を全て移行し、マリアが代表になっているという。

月基地の他メンバーは全員老衰により死亡。マリアはまだまだ元気で200歳までは生きると言い張っている。


「地球も大変だったのね」

「そうよー。暴動とかね―本当。ま、今はそれは落ち着いてるし、人工惑星への入植の話しでどうするか持ち切りみたいね」

「そっかー……」

「そういえば、貴女とラビ、まだなの?」

突然の質問に私はドキッとするがまだなのと言われると……まだである。

というより今までずっとコールドスリープに入っていたのでそんなことする時間は無い。

マリアはつまらなさそうにあっそとだけ言う。

入植の話に戻り、月基地メンバーの子孫もそっちに行くからよろしくと、そこで通話は終わった。


艦長席の背もたれに身を任せる。

マリアも歳を取ったのにまだ言う事が有るんじゃないかと思ったが、随分あっさりした会話で終わったな。


溜息をつくと、扉が開き、ポールが飲み物を持って入って来た。

「どうだった?」

そう聞きながら飲み物を渡してきて私はそれを受け取った。

「地球から入植する人がまだまだ来るみたいよ」

「おー遂にか」

「後ね、マリアまだ生きてた」

ポールはきょとんとした顔の後、驚いた顔に変わった。

地球の様子、月基地の話をそのままし「すごい事になってんなー」という一言で終わった。

「後…ね……」

「ん?なんだよ」

言うかどうか迷うがそれでも言わないといけない気がしたので意を決して言う事にした。

「あんたとラビ、まだなの?って聞かれたわよ……」

数十秒程間が明いた。

ポールも意味を察したのか、恥ずかしそうに頭をちょっと掻き、どうするかな等と言い始めた。

私としてはきっちりと言って欲しいのだが……。

ポールは真剣な顔で私に向き直った。

「地球の人も入植するしな。うん……俺達も……」

私とポールはそのまま顔を近づけた。

前は、リンが止めに入ったことが有ったが、今回はそんな気配は全くない。

私達はリンに艦内放送で呼ばれるまで一緒に過ごした。

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