第18話 ルカの頼まれ事

「あっ!そうでした。ボスから伝言を預かってるんです!」

 カレンたちがワチャワチャと話しているとルカがなにかを思い出したように両手をパンッと合わせ、そんなことを口にする。

「んっボスから?」

「ボス?」

「えっと私たちの保護者?みたいなものよ。」

「まあそうだな。俺とカレン、メグ、それとたしかルカさんもか、その人に拾われて今ここで悪魔と戦うなんてことをしてるってわけだ。」

 ルカの発言にメグがちょっと嬉しそうに反応し、聞いたことない名前というか役職名に首を傾げるソラ、ソラの疑問に答えてくれるカレンとそれについての捕捉説明をしてくれるクレイス。

「なるほど、皆さんの保護者に当たる人ですか、どんな人なんでしょうか?」

 ソラはどんな人なのか気になったのでなんとなくそんなことを口にすると…

「「適当で変わってるやつ。あと大人げがない!」」

「んっボスは変わってる。」

 カレンとクレイスが同時に同じことを言い、メグもその辺共通認識なのか頷きつつ二人の言葉を肯定する。

「ええ…散々な言われようですね。」

 ソラは困ったように頬をかき苦笑いを浮かべる。

 その苦笑いの裏で共通認識が適当で大人げないって散々な言われようだなと思いつつも、ちょっとその人物のことが心配になるソラだった。

「ええと、私の話…」

「ああっそうだったわね。ごめんルカ続けて。」

 おずおずと手を上げて話を元に戻そうと口を開いたルカに対して、話を止めてしまったことを軽く謝りつつカレンが続きを促す。

「ではコホンッ『おうお前ら元気だったか?ルカに伝言を頼んだのはお前らが捕まえた悪魔に聞いてもらいたい、いや吐かせたいことがあるからだ。そいつにこう聞いてくれ、結界の通行証はどこにあるってな。わかったら教えてくれ。またな』だそうです。」

 ルカは気を取り直して伝言の部分をボスと呼ばれている人物の口調を真似ているのだろうか?お世辞にも上手いとは言えない物真似で伝えてくれる。

「えっとその結界?って何ですか?」

「ソラ、私が説明してあげる。結界ってのは、 悪魔がこの世界に仕掛けた人々を分断するために作った境界線のことよ。言ってしまえば私たち人間を閉じ込める檻のようなものよ。」

 またまた自分の知らない単語が出てきてしまい、再度首を傾げるソラ、それにいつものように助け船という名の説明を出してくれるカレン。

「んっそのせいで結界の外に生存者がいるのかどうかもわからない。」

「俺たちはその結界の外に行く方法をずっと探してたってわけだ。もし外に生存者ないし俺達みたいな集団がいれば協力できるかも知れないだろ?」

 頷くメグ、そしてこの組織?の目的の一つだと言うことを補足説明役になりつつあるクレイスが教えてくれる。

「それの足掛かりがやっと見つかったってことですか?」

「その通行証が何かはわからないけど、通行証っていうくらいだから通るのに必要なんでしょうね。」

 やっとルカの伝言の意味を理解したソラは自分の認識があっているのか確認してみるがカレンの反応を聞くにそう言う認識で問題ないだろうと思った。

「あの人がどうやって手に入れたかはわからないが、とりあえずサーヤに聞いてみよう。」

 クレイスがその伝言を受けて今後の方針を全員に確認するが、しかしそこで別問題にぶち当たったことにカレンが気づく。

「ってサーヤのことはなんて言ってたの?」

そう捕らえた悪魔の身柄はサーヤ、つまり悪魔の元にあることを…

「『悪魔でも何でも使えるものは使っとけ』って言ってました。」

 そんなみんなの心配をよそにルカからの返答はさっぱりとしたものだった。

「うわっあの人らしい答えだな。」

 ルカの返答にクレイスは若干引きつつも、なぜか納得した様子だった。

「というか思ってたんだけど、それだけ伝えるのにあいつはルカに伝言を頼んだの?通信端末で連絡してくるとかでも良いような気がするんだけど。」

「ああそれはですね。私はボスからもう一つ頼まれ事をされていまして、伝言はそのついでみたいな感じなんですよ。」

 カレンがそう聞いてみるとルカがわざわざ自分が直接ここまで来た理由を明かしてくれる。

「もう一つの頼まれ事って?」

「それはですね。新しく入ってくれたソラお嬢様とここ数ヵ月でカレンお嬢様がどれくらい実力をつけたのかを判断がてら小さい任務という名のやっかいごとを押し付けられたわけです。」

 カレンは続けて疑問を口にするとルカは人差し指をピンッと天井に向けるとソラとカレンへと笑みを浮かべてそう言った。

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