紗和が、アートソフビの魅力を語る

第2話 アートソフビを生み出す原型師たちの情熱

アートソフビが完成するまでには、どれだけの手間と時間がかかるかご存じでしょうか？一見シンプルに見える造形でも、その裏には原型師たちの膨大な作業と情熱が詰まっています。今回は、アートソフビがどのように生まれるのか、その制作の裏側をお話しします。

原型制作の第一歩

アートソフビの制作は、まず「原型」を作ることから始まります。この段階で使われる代表的な素材がポリパテです。ポリパテは、硬化すると非常に丈夫で、細かなディテールを表現しやすいため、原型制作に欠かせない存在です。原型師たちはこのポリパテを削ったり盛ったりしながら、頭の中に描いたイメージを形にしていきます。

しかし、この作業は決して簡単なものではありません。ポリパテの扱いには高い技術が必要で、一度硬化すると修正が難しいため、ミリ単位の精度で作業を進める必要があります。また、作り手の個性や意図がダイレクトに反映されるため、原型師のセンスが問われる作業でもあります。

型取りと成形の工程

原型が完成すると、次は「型取り」の作業に移ります。シリコン型を作り、その中にソフビの素材を流し込んで成形します。この段階も非常に重要で、型取りがうまくいかないと、ソフビが破損したり、形状が歪んでしまいます。

アートソフビの場合、ただ形を複製するだけでなく、成形時に素材の特性を活かした工夫が求められます。ソフビは軽くて柔らかい素材ですが、細かい部分を再現するのは難しいため、原型師たちは日々試行錯誤を重ねています。

健康と向き合う作り手たち

ポリパテの作業で特に気をつけなければならないのが、健康リスクです。ポリパテの粉塵や硬化時に発生するガスは、有害物質を含むことがあり、長時間吸い込むと体に悪影響を及ぼします。そのため、原型師たちは換気や防護マスクの着用など、安全対策を徹底する必要があります。しかし、作業に没頭するあまり、これらの対策がおろそかになってしまうケースも少なくありません。

アートソフビを生み出す情熱と引き換えに健康を害してしまうのは、誰にとっても本望ではないはずです。だからこそ、創作と健康の両立が非常に重要です。次回の最終話では、この両立のための具体的な方法や意識すべきポイントについてお話しし、創作活動を続けるためのヒントをお伝えしたいと思います。

アートソフビは、こうした努力の積み重ねで生み出されています。その背景を知ることで、次に手に取るソフビが、さらに特別な存在に感じられるかもしれません。