学校の魔女はカップルを崩壊させたい
志田凛
女の子目線
「次は誰にしよっかなぁ…。」
私はリア充が大嫌いだ。
どこでも構わずラブラブしやがって…。
とにかく私の役目は全て壊すこと…。
全てのカップルが絶望すればいいのに…。
そう思いながら次のターゲットを絞った。
「柚樹先輩…。」
高3の先輩で相手はモデル体型で学校一人気な女性。春奈先輩。
こんなカップルが崩壊すれば私の心は満たされるほかないよ…。
さてとどう壊そっかなぁ。
*数日後*
「きゃあ!」
「ああ。ごめんね。大丈夫?」
「あ、いや全然大丈夫です。っていうか柚樹先輩じゃないですか?」
まずは自然な流れから、会話を繋ぐ。
「そうだよ。君の名前は?」
「ルルって言います…。」
「そっかそっか。」
「あ、そうだ!私、学校中の人とSNS交換するって目標があるんですよ〜。だから交換していただけません?」
少し変な女の子を演じながら、自然な流れから、SNSをゲットする。
経験上これが1番効率いい。
「あ、いいよ。じゃあこれ俺のアカウントだから。」
「ありがとうございます!」
「じゃあね。」
んっふ。ちょろ…。
***
ここから毎日、少しだけSNSを送る。
たくさん送りすぎると彼女がいるから連絡しないでって言われてしまうかもしれない。
だけど送らなさすぎると、私の記憶は彼から抹消されてしまう。
だから絶妙な量が大事。
うまくいけばこれだけで崩壊するカップルもいる。
そんぐらいカップルっていうものは脆いものなの…。うふふ…。
ただ今回は、これだけではやっぱり無理だった。
そりゃそうだよね…。
春奈先輩も柚樹先輩も束縛は強い方じゃないらしいしね…。
じゃあ次の手段だね…。
***
「せーんぱい。」
「おお。どうしたの?」
「先輩に会いたくて来ちゃった。」
「そうなんだ。」
「会いたかったのもそうなんですけど勉強も教えて欲しくて。」
「ああ。いいよ。」
「じゃあ3階の空き教室で教えてください!」
ふふふ。
先輩…。地獄へのカウントダウンは始まっていますよ…。
***
空き教室にとりあえず移動したらまずは勉強を教えてもらって、油断をさせるの…。
「じゃあ、休憩しよっか。」
きた…!
私はしれっと横の席に座る。
やや前傾になって彼の手に私の胸を当てる。
ふふ。先輩はこんな胸に触れたことなんてないでしょ。春奈先輩はまな板だしね。
「ルル。胸が当たってるよ。」
「わざと当ててるんだよぉ…。」
「え…?」
そして私は先輩の顔に自分の顔を近づけてキスをしようとする。
先輩は逃げようとするけど、私は必死で引っ張る。
「先輩…。一回だけでいいからさ…。」
「え…。でも…。」
「こんなとこ誰にもバレないよ…。」
「一回だけだぞ…。」
きた…!
遠くから足音が聞こえてドアが開く音がした。
春奈先輩だ…。
私の唇は先輩の唇に触れようとしているところだった。
さあ…。修羅場になるわよ。
思う存分に喧嘩して。
あっ。なんで春奈先輩がいるかって?
そりゃ私が呼んだからね。うふふ。
「ねえ。柚樹何してるの?」
「春奈まって。違うんだ…。」
「もういいから…。柚樹がそんなことするなんて。」
あれれ…。もっと喧嘩して欲しかったなぁ。
見応えないなあ。
でもまあいっか。
目的は果たせたんだし。
*翌日*
先輩の浮気の噂は瞬く間に広がっていった。
先輩は一気に底辺に落ちぶれただろう。
はは。ざまあ…。
私の名前は広がらないように、特別な手段を使ってもみ消した。
どんな手段かは言わないよ?
そしてその日の放課後、私は公園でうなだれている先輩を見つけた。
「せーんぱい。」
「お前…。お前のせいで…。お前のせいでこんなことになってるんだぞ!」
「本当に私のせいだけかな…?」
「はあ?」
「だって、私と一回だけキスするっていう決断したのは先輩だよ…?」
「いやだってお前が離してくれないから。」
「本当にそれだけ?」
「いや…そうだろ…。」
「じゃあ先輩…。そんなんで私とキスしようとしたってことは、春奈先輩とはその程度の関係だったってことだよ。」
「そんなこと…ない…。」
「先輩は今、何もかも失った。今あるのは私だけ…。」
「は…?」
「先輩…。私ならもっと幸せにするよ。だからさ、私を好きになって、私とそういうことして、私ともう一度やり直そ。」
「どういう…つもりだ…。」
もちろん一切先輩に好意なんてない。
だけどキスしてやるんだ。
少しでも勘違いさせるために。
「先輩決断して。」
「わかった…。付き合おう…。」
「やったあ。」
先輩とハグしながら私は悪い笑みを浮かべた。
そしてその3ヶ月後私は先輩を捨てた。
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