第39話 ギルドの為の超チートスキル

私が来たときはたった6人だったギルド本部。

今ではザッカートたち20人、リンネにアルディ、それからアリアとドレイクが仲間に加わり30人の大所帯になっていた。


皆ギルド本部が大好きなんだよね。

とっても居心地が良いって。


色々出した甲斐がありました。

本当に嬉しい限りだ。



※※※※※



今更だけどこの世界の時代背景はおおよそ中世のヨーロッパ程度?

創造神がおばあちゃんだったこともあり、実際の時代背景よりは色々便利ではあるのだろうけれど。

電気はないけど魔石とかあるからね。


だけどどうしても現代社会で暮らしていた私は、来た当初不便に思う事がいくつかあった。


まずはトイレ。


一応水洗ではあったのだけれど……

何故か和式だった。

あと、そ、その……トイレットぺーパー、ないんです。

硬いザラザラした紙なの。

うう。


ファルマナさんがいつも奇麗にしてくれていたので不快感はなかったのだけれど…

やっぱり私ちょっと不便で。


ある時エルノールが、


「異世界より来られた美緒さまにはきっと色々ご不便がございましょう。可能な限り整えますので何でもおっしゃってください」


って言ってくれたんだけど……

流石にちょっと言えないじゃない?


私自分がそんなデリケートだとは思っていなかったんだけど、どうしても慣れないトイレで……実は10日間くらい……そ、その……あう、……便秘で。……うう………


その様子に気づいたファルマナさんに整腸剤を調合してもらって事なきを得たんだけど……


「美緒?だめだよ。それは大事なことさね。……まったく。言いにくい事は私に言いな。うまくやるからね……ちなみにあんたの居た世界のトイレはどういう形だったんだい?」


そうして拙い私のイラストと説明書きを見て、何故か納得したファルマナさんはすぐに動いてくれたんだよね。

そしてザナークさんが別の大陸にあるライデル王国のドワーフ族の町の生活工房店に頼んで試作品を3日後くらいに持ってきてくれた。


何とびっくり。

魔石をふんだんに使った暖房便座付きのウオシュレットが完成したのだった。


早速みんなで使い、大好評。

私の一番の懸念が解消されたのよね。

今はギルド内のトイレ、全て入れ替えております。


そんな中ハイネ君が私に、


「ねえ美緒?美緒のスキルの『超元インベントリ』って、普通のインベントリとは違うの?……もしかして美緒の居た世界の物も入ってるんじゃないの?」


って、聞いてきて。

はあ、ハイネ君とっても賢い。


そういえば私自分のスキルなのに皆に説明はしたけど確認してなかったんだよね。


「うん?そうだね……ふふっ、ハイネ君に何かあげたいな。日本のおもちゃとかスッゴク高性能なんだよ」

「へー、すごーい」

「ふふっ。可愛い。………っ!?………ええっ?!!」


ハイネ君は8歳。

だから私は何の気なしに自転車とかあったらきっと楽しいだろうなって思ってたら…ありました。

14インチのマウンテンバイク。

しかも補助輪付き。


真っ青なカラーリングのしかも超高級メーカーの物が目の前に出現。

これにはハイネ君大喜び。


ザナークさんもファルマナさん、それからエルノールもスッゴク驚いていた。

それに気を良くした私はありとあらゆるものを思いつくままに出してみた。

まるで某アニメの猫型ロボットになった気分。


おかげでもう一つの懸念であったお風呂の性能が格段にアップ。

この世界にも一応石鹸はあったんだけど……


灰と油から作ったものでちょっと匂うしざらざらしていて…

今ではいい匂いの石鹸とボディーソープにシャンプーとコンディショナー、さらには入浴剤もゲットしました。


もちろん柔らかいタオルやバスタオル、バスローブなんかもばっちり。

私の拙い知識でありとあらゆるアメニティグッズを出してみました。

もちろんドライヤーも大好評。

なぜか毛生え薬?

これは需要がないかな?はは。


もちろんトイレの小物もさらに拡充。

芳香剤とか洗剤とか……えっと、そ、その……女の子の日に使う物とか…あう♡。

コホン。

おかげでほぼ日本と変わらない快適空間が完成です。


そういえばウオシュレットに男の人たち、結構な頻度で悲鳴を上げていたのよね。

でも「い、いや、すっげえ良いです」とか顔を赤らめていたっけ。

きっと慣れない?のかな?


でもレルダンが


「流石女神様。問題を抱えていた者たちが最近解決いたしました」


って。

……きっと痔よね。


うん。

追及はやめておこう。


あっ、今はもちろんトイレットペーパーも完備です。

ダブルの柔らかい奴ですよ?

しかも匂い付き。


あと私日本に居た時はゲームばっかりだったんだけど、一応他の趣味っていうか…アロマセラピーが好きだった。

一応社会人だったけど、半引きこもりだった私は部屋の環境だけにはこだわりがあったのよね。


うん。

一式出てきました。


おかげで私、少しはいい匂いがするみたい。

エルノールはなぜか顔を赤く染めて…


「美緒さまは元々素敵な香りでしたよ?……今は…そ、その……とても素敵な香りです。私は美緒さまの匂い…とても好きです」


とかいって。

私スッゴクドキドキしてしまいました。


もう。

美形が顔を染めてそういうこと言うの反則です。



※※※※※



何はともあれそんな訳で、ギルド本部の消耗品類は大方が日本の物に置き換わっているんだよね。


新たにギルドに来たルルーナやミネア、回復したレリアーナ、そしてリンネたち女性陣もとっても喜んでくれました。


そうそう。

最近は化粧品も出してみました。

これにはルルーナがめっちゃ喜んでいたっけ。

私も彼女に教えてもらって一応使っています。


うん。

チート万歳。


もちろん異世界物の定番『日本の食べ物やスイーツ』もいくつかレシピを渡しました。

数々の調味料と台所用の洗剤とか調理器具なんかもね。

まあこの世界ジパングがあるので醤油とか味噌、お米は購入しているけど。


だからギルド内の食べ物も、きっと世界随一。

あとソフトドリンクやお酒類も何故か地球の物が出てきて、ザッカートさんたちはじめ、皆に大好評です。


この前のアップルパイも好評だったから、時間を見て他のスイーツも再現したいと思う。


食べ物以外では、一応ジム?トレーニング機器を出してみました。

これは主に男性の皆さんに好評です。


という訳で、ギルド本部。

とっても充実しています。



※※※※※



夜のサロン。


今サロンには大型の冷蔵庫が完備され、誰でも自由に飲み物を楽しめるようになっている。

冷蔵庫はこの世界の魔道具だ。

常時私が飲物を補充しているのよね。


そんな中、夕食を終えお風呂を済ました後、珍しく女性陣が揃い今日は飲み物を楽しんでいます。

もちろん多くの男性陣もいて、熱いまなざしを向けてきているけど……


ミネアとルルーナ、そしてリンネが日本の缶チューハイを、私とリアとアリアはリンゴジュースをチョイス。


「んー♡これ、美味しい。……美緒は飲まないの?」


ルルーナがおつまみを摘みながらご機嫌に私に視線を向ける。

お風呂上りとほろ酔いで顔が上気し赤くなっていて髪の毛もしっとり。

とっても色っぽい。


「あー、私お酒弱いのよね。すぐに真っ赤になっちゃうし」

「へえ?見てみたいかも」


リンネが怪しく微笑みながらさらに新しい缶チューハイを開けていた。


「ぷはー。美味しいよね……ねえ美緒?もっとないの?なんかこう刺激的なスッゴイの」

「えー?うーん。……炭酸とか?シュワシュワするやつ」

「にゃ?キョーミあるににゃ。美緒、出して」


ミネアが赤い顔で目をキラキラさせている。

私はその様子に癒されながら頭の中で思い浮かべコーラを出現させてみた。


何故か瓶。

しかもスッゴク冷えている。


私は事前に出してあった栓抜きを使いコーラをミネアとリンネに渡す。


「……ねえ美緒?……黒いよ?!……これ、大丈夫なの?」

「にゃあ、シュワシュワいってるにゃ」

「うん。地球の有名なジュースだよ。子供でも飲むものだから。あっ、でも糖分多いからたくさん飲むと太るかな」


私の説明を聞き、何故かリンネが躊躇する。

ミネアはおもむろに口に流し込んだ。


「にゃっ!?……げーっぷ………!?美味しいにゃ!!」


「わ、私もほしい。美緒、良いかな」


その様子にアリアが立候補。

リンネに出したものを渡してあげた。


「んくっ……んくっ……げえーっぷ。………うあ、めっちゃおいしい。シュワシュワして、のど越し最高だね!」


うん。

コーラ飲むとゲップ出ちゃうよね。


「喜んでもらってよかったよ……リンネ?」


何故かスッゴク物欲しそうな顔をしたリンネが私を恨めしそうに見ている?!


「……ねえ、太るの?」

「え?」

「美緒言った!!太るって。……私も飲みたいのにっ!」


んん?

リンネ全然太ってないよ?


「あ、と。……大丈夫だよ?たくさんならだめだと思うけど……飲む?」


なぜか赤い顔でコクンと頷くリンネ。

そしてさらに興味津々なルルーナとリアも手を上げていた。


「ちゃ、ちゃんと出すよ?……はい、どうぞ」

「「「んくっ、んくっ……げえーっぷ……おいしー♡」」」


この世界、炭酸は珍しい。

エールもなんか炭酸抜けてるしね。

なので日本缶ビール、大人気です。


そんな様子に、アルディが話しかけてきた。


「ねえ美緒、それ、僕も欲しいかも」


そしてその様子を見ていた男性陣がまるで雪崩のように押し寄せてきた。


「み、美緒さま?!俺もっ!!」

「あっ、てめえ、抜け駆けすんなっ!」

「美緒さま―」

「俺っちも!!」


「うあ、ちょ、ちょっと?!きゃああっ?!!」


余りの勢いに思わずしゃがみ込み悲鳴を上げてしまう。


「………あれ?」


目の前にレルダンが立っていた。


「……貴様ら……美緒さまに無礼を働くとは……万死に値する」

「「「「ひ、ひいいい」」」」


※※※※※



その日からコーラも常設することになりました。

因みにレルダンのお仕置きを受けた団員は……


うん。


詳しくは言えない、とだけ。


ははは、は。

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