序章①:大災害
それは30年前のこと。ある日、澄み渡った青空が突如として暗雲に覆われた。王都の人々は異変に気づき、空を見上げる。その瞬間、天から巨大な光の柱が降り注ぎ、地面を揺るがす轟音とともに爆発が起こった。ABYSS――未知の脅威が王都を襲撃したのだ。
王都の街並みは一瞬で炎に包まれた。壮麗な城郭や歴史ある建造物が次々と崩壊し、美しかった街は瓦礫の山と化していく。逃げ惑う人々の悲鳴が響き渡り、愛する者を失った叫びが空虚に消えていく。炎の熱気と煙が立ち込め、視界は赤黒い闇に閉ざされた。
王族や貴族たちも、避難する間もなく次々と命を奪われていった。街の至る所で生命が消えていき、数百万もの人々がこの日を最後にこの世を去った。王都は壊滅し、生き残った者たちは恐怖と絶望に打ちひしがれた。
光の聖女セレスティア・クララは静かに立ち上がった。自らの命を捧げる覚悟を決め、持てる全ての力を振り絞って、強大な封印の魔法を発動した。眩い光が彼女を中心に広がり、ABYSSの攻撃を止める。クララの身体は徐々に光に包まれ、穏やかな表情を浮かべて消えていった。
クララの犠牲により、王都は一時的な平穏を取り戻した。しかし、街の至る所には崩壊した建物と瓦礫の山、そして数え切れない犠牲者たちの姿が残されていた。人々の心には深い悲しみと傷跡が刻まれた。未来への希望を見出すことは容易ではなかった。
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