第9話

海人くんの顔が近い。



優しい声が心地良い。



海人くん、香水使ってるのかな。



香水苦手な私でもいい匂いがする。




せっかく教えてくれているのに、全く頭に入って来なくて…こんな幸せな放課後なら毎日居残りたい…なんて妄想までしてしまう。





「きらり、聞いてた?」



「あ、うん。聞いてたよ。」




私、めちゃくちゃ幸せだ。








「タケちゃん終わりましたっ。」



「珍しく早かったな。今日は…送らなくても良さそうだな、海人が居るから。」



私の後ろに立っている海人くんを見てタケちゃんは笑った。



「チッ、」



そして後ろから何故か舌打ちが聞こえて来た。

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