第16話

「ちょっとー!私、ついでみたいじゃん」



高瀬くんの言葉を拾ったあい子が、私の机に手を突いて私を庇うように身を乗り出した。



「え、そんなことないって」


「そーお?まぁ、おはよう」


「なんだ、それ」



軽口で自然に話の中心を攫う。


それに内心、助かったと思った。


いつもさり気なく私を助けてくれるあい子には、感謝してもしきれない。



(ありがとう、あい子)



私から逸れた会話に、ほっと胸を撫で下ろす。



「あーきーら!」



けれど一難去ってまた一難。


その声に視線を向ければ、高瀬くんの隣には見覚えのない男の子。



「なんだよ!早速、美女2人とお友達かよ?」



高瀬くんの声に反射的に私たちを視界に捉え、なぜか固まってしまっていた彼の友達は、我に返ると今度はにやにやと好奇と喜色の混じった瞳を光らせる。


その様子に不快感が募る。



それにあい子はともかく、私は美女じゃないし。


お調子者のリップサービスなのか。

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