初恋の始め方

mocha

prologue

第1話

男の子は、信用できなかった。



女の子は、もっと信用できなかった。




いつだって私は、見えない恐怖に怯えて、消えない不安を抱えて。


夢も持てず、恋も知らずに。



ただひたすらに、 "私" という存在を押し殺して生きていた。




痛みと、苦悩と、少しの希望が複雑に混ざり合う青春は、まるで不安定に揺らめく海の水面で。


深く暗い海の底に堕ちていくようだった。



そんな私の世界に、あなたと出会って光が射した。






……――知らなかったの、



世界がこんなにも広く、鮮やかに色づいていることを。






これは、私の初恋のお話。

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