二話 女郎蜘蛛 序
※
女の甲高い声が聞こえる。
ひそひそとする睦ごと。
それを聞くと背中に虫が這い上がるようなざわざわとした不快感を感じる。
せめて、現実から目をそらしたくて視線をベランダに向ける。
柵に綺麗な蝶が止まっていた。
やがて飛び立つ。
地上の世界はとても醜い。
蝶は飛べる羽があって羨ましい、と。
そう思った。
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