僕と彼女の未来予想図
西川 旭
一
「いったいどこなんだ、ここは……」
「ほんま、どこなんやろねえ?」
幼馴染の「ニャー子」と僕の二人は今、謎の島にいた。
謎の島、としか言いようがないのだ。
いったいここがどこなのか、どうしてこんなところにいるのか、これから先どうなってしまうのか、僕には皆目見当がつかない。
かろうじてここが、絶海の孤島であるということだけはわかった。
日が暮れる前に僕とニャー子が海岸線を歩いて確認したからだ。
半日も歩かないうちに、僕たちは同じ場所に一周して戻ってきた。
もちろん海岸線から見渡しても、海の向こうに別の陸地は見えない。
スマホアプリの万歩計が示すデータによると、約10キロほど歩けばこの島は一周できるらしい。
歩行記録の数値が10キロ少々増えていたから。
大雑把に島の形状を円と仮定して直系約3キロか。
いや、僕は円周率を3と習ったわけではないけどね?
よくニュースで「円周率を3と習った子供たち」なんて話が出るけれど、いったいどの世代のどの地域の人がそれに該当するのか、実際にお目にかかったことはない。
「ごろちゃん、なにブツブツ言うとるん?」
「いや、僕たちは断じてゆとりではないということをだな」
「ゆとりがあるのはええことちゃうん~?」
朗らかなニャー子の言葉に僕もつい表情を緩ませる。
「砂浜、キレイやねえ。和歌山の海とどっちがキレイやろ?」
「どうだろうな……日が沈んじゃったし分かりにくいな」
「あ、ヤドカリみたいなんがおる♪」
「暗いんだから波打ち際まで行くなよー」
夕陽が目の前に見えたのだから、僕らがいる浜辺がおそらく島の西側なんだろう。
しかし、こうも緩んでなごんでばかりもいられない。
早くこの島から脱出する手立てを考えるなり、救助が来てくれない限り、僕らはここで野垂れ死ぬのだから……。
「まーるかいて、おまめがふたつ、おむすびひとつ、あっというまに♪」
僕が憂鬱なことを考えているのを尻目に、ニャー子は流木をペン代わりにして砂浜に大きな絵を描いていた。
丸い体のキャラクターのはずだが、丸ではなくいびつな三角形に見える。
しかしあんな古いゲームの古い絵描き歌を良く知ってるな。
さて、ここからどうしようかと考えるにあたって。
どうしてこうなったのか、そのきっかけを探るべく今まで起こったことを少し整理してみよう……。
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