第14話

橘と東谷と別れ、職員室のドアにノックをしてから開けて入室した。

中では先生たちが次の授業に向けて教科書やプリントの準備をしていたりと忙しい姿が見えて、思わず言うべきか迷った。

でもまあ言わないと面倒な空気が続くだろうし、気づいた以上は言うしか無いよな。次の授業は担任の先生でも無いし。


「すいませーん武田先生いますかー」


という事でドア付近から担任の先生がいないか聞いてみた。それに反応した先生が周りを確認した後、こっちにやってきた。


「今はいないわねー。どうしたの?」

「えっと」


直接言えた方が早いんだけど、いないのなら仕方ないか……。とりあえず反応して確認しにきてくれた先生に伝えてる事にしよう。

蒸し暑い教室が、クーラーが付いた事で涼しくなったのだが、その中で木村さんが寒いと訴えてきた事を伝えた。それの原因が木村さんのいる席がクーラーの冷風の直撃してるから、どうにかできないか伝えてみた。


「なるほど、それなら改善しなきゃいけないわね」

「代わりに伝えて貰って良いですか?」

「そういう事なら伝えておくわ」

「ありがとうございます」


さて、伝える事は伝えたし、これ以上の用も無いから戻るとするか。そう思って出ようとした。


「あ、その話、自分の提案って伝える?」

「そこまでの興味は無いので匿名で」


俺の提案だろうけど、橘と東谷と雑談してなかったら気が付かなかった事だし、この後祀り上げられそうなのは嫌なので匿名を希望した。

ま、これでこの騒動は終わりでしょ。こんな感じで文野のメガネ云々もさっさと終わればいいんだけども。


「ふふ、分かったわ」

「では」


やる事終えたし、さっさと教室に戻ろう。

そう思って戻ってたら、教室に着くと同時に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。まだ予鈴だから余裕があるとはいえ、結構ぎりぎりだったんだな。

そして程なくして本鈴が鳴り、5時限目が始まった。木村さんと言えば誰かに借りたのか薄い黄色のタオルを羽織るようにして過ごして居た。まあ何もないよりはマシか。

4時限目のような嫌な空気が流れる事無く、そのまま6時限目まで終わった。


「さーて帰る前にちょっとお話だ」


担任の先生である武田先生からの話だ。急に話になったもんだから、帰りたがってる人からすればえーっと歓迎してないムードが流れた。


「面倒だから単刀直入に聞くぞ。木村さん、誰かと席替えするか?」

「え?」


唐突に席替えの指名をされた事に木村さんが驚いていた。まあ報告相手は俺だが、なんだろうなこの居心地の悪さ。


「匿名で木村さんのいる席が寒いと報告があってな、誰かその場所と変わるか?」


それを聞くや否や、さっきまでの空気を無かったかのように我さきにと冷房が効くところを欲しがる人が湧いた。主に男共で。

俺は……、この席で良いや。席の場所に興味無いし、冷風を浴び続けたら寒くなりそうだし。

まあ梅雨が明けたら、じめじめした夏が来るから冷房の風が効くところに行きたいのは分かるが、寒いと思う所までの場所には行きたくはないな。


それより梅雨だから帰ったら靴に新聞紙入れて乾かさないとなー。雨で文野はメガネが曇って困ってるんだろうなとか考えてるうちに話は決まったそうで、木村さんの位置は真ん中から廊下寄りの場所に変わったそうだ。

解決したそうで何よりだ。


「えっと、匿名の人、ありがとうございます」


木村さんは誰だか分からない匿名の人にお礼を言っていた。

うんまあ、お礼を言われる分には悪い気はしない。


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