第46話 ナナミさんは、どうやら凄かった
「魔法の収納袋?! アダマンタイトのツルハシも驚きましたけど、何で、ナナミさんが、国宝級のお宝である魔法の収納袋を持ってるんですか!」
アマンダさんが、興奮しながらナナミさんに質問する。
「うん。魔法の収納袋があれば、大量の鉱石運ぶのが便利だと思って開発した」
「開発したって……魔法の収納袋って、まだ世界で3つしか存在しない筈の、ダンジョンでのみドロップする神級アーティファクトですよね!
それを開発って、ナナミさん! 非常識にも程が有ります!」
「作ってみたら、普通に作れた……」
ナナミさんは、申し訳なさそうに答える。
「解ってます? 魔法の収納鞄って、神代の技術により作られた、この世界の人間では再現不可能な筈のアーティファクトなんですよ!」
「そうなの?」
「そうです! その魔法の収納袋を売り出せば、ナナミさんは億万長者にだってなれちゃうんですよ!」
「こんなの簡単に作れるのに」
「簡単って……ナナミさん! 自分の物凄さを
もっと認識した方がいいですよ!
下手すると、元武蔵野国三賢人だった坂田権蔵さんより、ナナミさんの方が凄いと私は思いますし!」
「それはない。僕よりお爺の方が凄い。なにせ、お爺はオリハルコンも扱える。
僕は、アダマンタイトが限界……」
「あの……ナナミさん解ってます?そのアダマンタイトを加工できる鍛冶師も、この世界に10人も居ないんですからね!」
「嘘?」
「嘘じゃないですから!」
アマンダさんが怒るのも無理ない。
俺から見ても、ナナミさんは、相当規格外だし。
普通に、鍛冶師や魔道具技術者としても大成できちゃう程の天才だと思うし。
既に、神代の技術で作られているという魔法の収納袋を再現できちゃってる時点で、この世界最高の魔道具技術者だと言えちゃうしね。
だけど、周り、(元武蔵野国三賢人が一人坂田権蔵爺さん)が凄過ぎて、自分の凄さに全く気付かなかったのだろう。
だけれども、自分が凄いと解ってたとしても、ナナミさんって、あんまり地位とか名誉とか気にしないタイプに見えるんだよね……
ナナミさんの爺さんも、そんなタイプだし。
だって、メッチャガラが悪い貧民街の掘っ建て小屋で商売してるし。誰も、そんな所に、元武蔵野国三賢人の一人、伝説の鍛冶師、坂田権蔵が店を出してると思わないし。
地位や名誉が欲しいなら、普通、マール王都の一等地に店を出すでしょ。バカ高い剣とか売ってるから、お金とか持ってると思うし。
本当に、爺さん、孫、二人揃って地位や名誉に興味が無いのである。
「兎に角、お爺の店に帰ろう。ミスリル持って帰らないと、アマンダの装備の製作に入れない」
「そうだった! 早く行こう!」
アマンダさんも、ナナミさんの話より、自分の家紋入りのビキニアーマーの方が大事だったようで、フロアーボス部屋の外に散乱してたミスリルを、魔法の収納袋の中に放り込んで、権蔵爺さんの店に向かったのであった。
本当に、帰りのアマンダさんは凄かった。
メッチャ早歩きだし、ハァハァいいながら、バーサーカー状態になって敵を斬りまくるし、挙句に俺達にまで襲いかかって止めるの大変だったし。
まあ、俺達『銀のカスタネット』の場合、どうやら俺だけでなく、ナナミさんも普通に、バーサーカー化したアマンダさんを止められるみたい。
本当に、こんな小さな体で、どんだけパワーがあるんだよって、感心してしまう。
取り敢えず、俺の『握手』のスキルの派生スキル、『癒し手』の力で、HPを回復させ、そして、興奮を冷ます為に、心も癒してやったら落ち着いてくれた。
銀級冒険者試験の時は、アマンダさんを倒さないといけなかったので回復とか出来なかったけど、もうアマンダさんを倒す必要もなく、バーサーカー化を解くだけでいいから、本当に楽。
試験の時は、腕の骨をボキボキに折って、失神させる方法しか、バーサーカー化したアマンダさんを倒す方法無かったからね。
そんな感じで、王都に着いて、権蔵爺さんの店にミスリルを卸したのだが、その後すぐに事件が起きたのだ。
なんと、マール王国王直轄近衛騎士が、権蔵爺さんの店に押し入って来て、俺達『銀のカスタネット』のメンバーは、捕まってしまったのだ。
「エッ?! どういう事? 何でマール王国の近衛騎士に私達捕まる訳?!」
アマンダさんは、相当慌ててる。
まあ、アマンダさんは理由分からないよね。
フルート侯爵家の手勢の者が捕まえにくるのだったら分かるけど、まさか、マール王国の近衛騎士が捕まえに来るんだもん。
これは全て、俺が王様との約束を破ったせい。
ダンジョンには決して入るなと言われてたのに、サクラ姫の護衛を振り切ってダンジョンの中に入っちゃったからね。
本当に、どうしよう……このまま皆と逃げてもいいんだけど、そうすると、アマンダさんと、ナナミさんまで国家反逆罪でお尋ね者となってしまう。
俺のせいで、お尋ね者にしちゃうのは、流石に心が痛むので、俺は大人しくマール王国の近衛騎士に御用となる事にしたのだ。
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