学生観察☆

「みどり、どうした? 」


「うん、何でもない」


 慌てて黒板に目をやる。心の中で、靖子。


キレイだなあって呟きながら。


やっと授業が終わって、教授がゆっくりと


チョークを置いて、出席簿を取り出す。


「青木」


「はい」


「赤松」


「はい」


 友達が多い子は、出席番号の離れた子に代


返をしてもらえる。


みどりも朝一限の、最初に出席取る授業な


んか代返してもらえたらな、なんて思うけど。 沖縄出身で、方言がうっかり出ちゃうとこ


とか。なんか自分でもちょっと垢抜けてない


な、と思うことよくあるけど。


 もう沖縄から出てきて、一年。


 都会の暮らしにも、食事にも、言葉にも慣


れたし。みんな、みどりと仲良くして欲しい


な、なんて時々寂しくなる。


 特に教壇の前数列に固まって坐っている、


真面目な「典型的なこの大学の学生」と呼ば


れる子に対して。


 みんな、何だかよそよそしくて冷たい感じ


がする。一年経っても。


 他のグループとは、時々一緒にご飯食べた


り、話したりするけど。

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