第3話

異常なのは、家庭環境だけじゃない。


この頭も、どうかしてた。






子供の頃から、勉強が手に取るように分かった。


習ったことのないことでも、まるで頭にインプットされているかのようにスラスラと答えを導き出せるのだ。


読んだことのない本でも、内容を理解できた。


子供向けの本から、難解な哲学書まで。


特に好きなのは、化学だった。


物心ついた頃から、私の頭の中には常に元素記号が乱舞していた。


それはわたしの父が、科学者である所以なのかもしれないけど。






そんなわたしを、皆が気味悪がった。


だからわたしは、必死に”普通”のふりをして生きて来た。

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