ニーロ・リムーブフォース
ʚ傷心なうɞ
第一幕 リベリアーズ編
プロローグ 破壊工作
Part1
未だ、文明が誕生してから間もない頃。地球上には、2つの種族が存在していた。「人類」、そして「ニーロ」。彼らは獣型と人型の2種類の形態が存在し、全身が漆黒の液体のような質感なのが特徴だった。
既に火や武器を用いることを覚えていた人類とは異なり、彼らは他の生物を直接捕食し生き延びていた。その習性からも分かる通り知能が発達しているということはなく、目に付いた生物を手当り次第食い殺すという種族だった。
しかし、ニーロの生息域は人類の足の届かぬ山奥にある上かなり狭いものだったため、争いはおろか互いに存在を認知することさえなかった。
あの時までは。
ある日。ニーロは人を食い殺した。山から麓へ降り、それまでは知りもしなかったはずの人類を襲ったのだ。それも1人や2人には留まらず、集落ごと壊滅させていたりもした。
そんな突然の出来事に、人類は慌てふためいた。しかし、直ぐに全員が刃を手に取った。ニーロと戦い、自らを守ろうとした。
こうして、『獣人戦争』は勃発したのだ。
刃を向け、火を放って対抗を試みる人類。
ただ、ニーロは人類の想像以上に強力だった。また1つ、また1つと人類の集落は堕ちていき、それに比例してニーロの行動範囲も拡大していった。山を超え、海を超えて、ニーロは人類に牙を剥く。洞窟や森の中に隠れていた者も、最後には大半が喰われてしまった。
気づけば地上は、ニーロのものになっていた。
かくして、獣人戦争はニーロの勝利に終わった。地上の建造物はほぼ全てが倒壊し、人類の文明は単なる形跡になってしまった。
しかしながら、人類はごく僅かに生き延びていた。この地上に存在する洞窟、その内の1つは、奇跡的とも言える確率でニーロの索敵から逃れていたのだ。
中にいたのはたった5人ではあるものの、その者達は岩石で入口を封じることで、なんとか人類の領土を維持していた。その
それから、数千年。地下に住み着いた人類は小規模ながら目覚しい発展を遂げ、やがて1つの国として繁栄していくこととなった。その国の人口はおよそ70万人程ではあったものの、機械工業が発展し、足りない部分は機械が補うことで国として成り立っていた。
こうして小さいながら繁栄していた人類だった。しかし、1つ上手く行けば欲が出てくるのが人間という生き物だ。
徐々に、地上の奪還を目指す人類が現れ始めた。その思いは瞬く間に伝播し、やがて国民全員の思いが一致する程になった。
そうして設立されたのが、『NRF』。ニーロリムーブフォースだった。
地上に蔓延るニーロを排除し、人類の領土を拡大していくのが目的の組織。国民の中から選りすぐりの精鋭を集め結成されたそれは、徐々に徐々に成果を上げ始めた。
初めはわざわざ壁を掘って地上へと出歩いていたものの、今では地上に繋がるエレベーターまで完成した。しかし、それも所詮NRFの隊員用。いつか人類が地上で暮らせる日を夢見て、彼らは今日も地上へと赴くのだった――
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