第27話 妖精さんと宣伝効果

からくりはこうでした。



さっき、チョコ餅をあげた店頭にいた妖精達数人がチョコ餅をあげた彼らは、それを持ってお店の外に出て、お菓子屋さんの看板の上でそれを食べ始めました。



「はわわわ!」



「うまい!」



「あまーい」



「とろけるぅ〜」



「でも弾力がある」



「ねっとりもしてる」



「この食感をなんという?」



「オーナーはもちもち食感だと言ってました」



「新しい表現ですな」



「それにしても新商品、やっぱおいしーね!」



「みてみて、こんなにのびーる」



「のびるのびる」



「おもしろーい」



「きゃっきゃ」



妖精達は、大きな声で食レポをしながら、チョコ餅を食べていたそうです。


当然、お店の看板の上で食べ物を食べている妖精達の姿は、お客様の目に入ります。

可愛い妖精達が、お菓子を食べているその姿は、実に愛らしいことでしょう。


そんな姿を見ていれば……



「お母さん、あれおいしそー!」



「チーズみたいに伸びてる」



「チョコってことは甘いのかしらねぇ」



お客様の視線は釘付けになるのは当然というもの。



計算なのか計算じゃないのかよくわかりませんが、店の前で妖精が美味しそうにうちの新商品を食べるというパフォーマンスを行ったことで、購入希望者が続出……ということなのだそうです。


ここまでかかった時間、私が厨房に入って殿下とお話ししていたたった5分程度のお話です。


こんなことありますかね。


まぁ、あったということは、あるのでしょう。


しかし、作るとなると今からでは製造が間に合いません



「アンナ、取り置き対応して!!フェアリーイーツで送るって配送用紙書いてもらってください!」



「は、はい!!」



次の日から、チョコ餅の対応に追われました。


まず、店頭に訪れた全お客様から購入希望者が続出。

フェアリーイーツも注文がチョコ餅だらけになりました。


しかも庶民の間だけではありません。


王侯貴族達にまで出前をしにいっている妖精達の宣伝の甲斐あって、貴族達にも興味を持ってもらうことに成功。


貴族達の間でも、このお菓子の評判は広まったようです。


殿下の望みは叶いました。


これは、まごうことなきブームです。


たった1日でブームが到来しました。

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