第17話 吠えろオオカミ
今の状況を簡単に説明するなら
空中では、龍之介が変身した龍が炎のブレスを吐く。それに呼応するように、
ガマ「
キリエ「レッドライザー、消化開始。」
ガマやキリエはそれぞれのZONEを使い、二体の龍を対処していた。ガマは
ガマ「
キリコ「否定:無駄口を叩かないことを推奨します。」
ガマ「ありがとな…ぐはっ!?」
ガマは、龍の尾に吹き飛ばされるも空中の留まる。空中戦の機動力は圧倒的に龍之介の方が上。キリコも応戦はしているものの、小回りが効くのはそれでも龍之介であった。ガマは、なるべくキリコのサポートに回るよう心掛けながらも必死に龍之介に食らいつく。
ガマ「まだまだぁ!」
ガマは空中を走り、キリコにヘイトが向いている龍まで近づき、拳を捻る。
ガマ「
龍の長い胴体に二重の衝撃が走る。その強烈な衝撃によりガマヘとヘイトが向き、龍はキリコから視線を逸らす。
キリコ「ヘイト管理、感謝します。ターゲット・ロックオン」
キリコは龍之介に向かって接近し攻撃を仕掛ける。
キリコ「
ブルードリルを高速回転させ、龍之介へと突撃する。じりじりと龍之介の頑丈な鱗を削っていく。しかし、龍之介は身体を蛇のように動かし受け流して脱出する。
ガマ「ちっ…」
キリコ「残念」
一方地上はというと、こちらも酷い有様だ。
結論からして石田学人。コイツマジヤバい。ガマから教えてもらった石田学人のZONE:
星谷「あぶねっ!?」
フロストゴーレムの指から放たれる巨大な雪玉を
星谷「
燃える切っ先がフロストゴーレムの身体へと突き刺さるが、ダメージが入っている感じがしない。反撃が来る前にその場を離脱し、ラヴァゴーレムと戦っているガロウと背中合わせになる。
ガロウ「星谷!付いて来れてるか!?」
星谷「ちょっと厳しいかも!特にラヴァの方!」
ガロウ「同感だ!」
俺とガロウはゴーレム二体同時に相手をしているが、うまくいっていると言えば言えない。特に、俺の方なんだが、正直なところ火力が足りない。熱的な火力は
一方でガロウの方はというと
ガロウ「
手に黒い炎のような何かを纏いながら、ものすごいラッシュを打ち込んでいる。しかも凄くフロストゴーレムに効いている。拳が出していいような威力ではないが、確かにその拳はフロストゴーレムの体表を削っている。
ラッシュをして無防備となっているガロウにラヴァゴーレムが拳を振り下ろす。
星谷「ガロウ!ラヴァのパンチが来る!」
ドーン!!!
ラヴァのパンチが地面に当たり怒号が響く。ラヴァが拳を引き上げ、当たった箇所を見るがガロウの姿がない。
星谷「ガロウー!」
ペシャンコになってしまったのか?そう思っていると肩に手が置かれる。咄嗟に後ろを振り向くとガロウがそこにいた。
星谷「ガロウ!?さっきまでお前あそこに居たんじゃ?」
ガロウ「
星谷「いくつ技持ってんだ?」
ガロウ「親がまだ生きてた頃に叩き込まれてな。それよりも、コイツどうやって攻略する?」
星谷「それは、俺も考えてた。まずあのデカさをタイマンでやるのにもキツいってのに、それが二体だ。俺はZONEもまだ発現してないから火力も低い。仮にも、今ZONEが発現したとしても火力増加できるZONEかも期待ができない。」
ガロウ「だったら、お前には双葉三久の本体を叩いて欲しい。聞いた話だが、双葉三久の
星谷「それはわかったが、そのご本人様はどこに行きやがったんですか!」
ガロウ「おそらく観覧車側の方に向かってるはずだ。」
星谷「何でわかるんだよ」
ガロウ「匂いでわかる」
星谷「お前のZONEは、オオカミじゃなかったけ?それよりも、俺が行ったらお前一人になるけど、大丈夫なのかよ?」
ガロウ「うるせぇ!いいからとっとと行きやがれ!」
星谷「応!」
星谷はガロウのいう通り観覧車の方へと走っていく。
松本「させませんわ!行きなさい、お熱い方の下僕!」
星谷が辿り着くのを阻止しようとラヴァゴーレムが動く。
ガロウ「させねぇ!
ラヴァゴーレムが自身の生み出した影に足を取られる。
松本「いいのかしら?わざわざ二対一を引き入れるだなんて、無茶にもほどがありましてよ?」
ガロウ「松本とか言ってたな、お前は俺がどれだけ強いか噂でしか知らない、箱入り娘のようだな。これを機に思い知らせてやる……ウォーーーーン!!!!」
戦場にオオカミの咆哮がこだまする。そのプレッシャーはその場にいる全てを畏怖させた。
今、餓えた牙持つ狼が解き放たれる。
咆哮を放つ。それはまるでオオカミのよう。しかし、その姿はオオカミと呼ぶには余りにも大きい。体長約3m、体高約1.5mの巨大な黒い毛並みのオオカミがそこいる。
「ガルルルル」
唸り声を上げて巨人を睨みつける。そのプレッシャーに三倍近い大きさの二体の巨人は後退りする。
松本「何を怯んでおりますの!迎え討ちなさい!」
身体の一瞬を支配した恐怖は、松本からの命令が下ったことにより打ち消され、ラヴァゴーレムが指の先からオオカミに向かって溶岩弾を打つ。
煮え滾る溶岩が球体状にまとめられ、それをコンクリートで覆った溶岩弾は地面に当たると、内部から爆発するように溶岩とそれを覆っていたコンクリートを手榴弾のように撒き散らす
当たる直前、オオカミは影の中に姿を消す。
松本「ど、どこに行きましたの??」
周囲を見渡すがオオカミの姿はどこにも見当たらない。フロストゴーレムは逃げたと仮定し、龍之介の援護に回ろうとした次の瞬間。影からオオカミが飛び出し、左足を噛む。噛まれた足を軸に回転させられラヴァゴーレムへと放り投げられる。
ガマ「無茶苦茶やな…」
この数分の間で二体のゴーレムがダウンし、残るは空中に残る二体の龍だけとなった。
キリコ「下は片付いたようです。」
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