赤ちゃんに対して無関心だった私が子供を産んだら、とんでもない親バカになりました
リョウコ
第1話 20XX年
トイレで用を足した後、びよーんと不快なオリモノの感触。
いつもならテンションが下がるこんなことに、ほくそ笑んでる自分。
おお~…伸びる伸びる。
これが、排卵期のオリモノだ!!
ネットで調べた私はその夜、行動に移した。
基本、セルフサービスの我が家。食後のコーヒーは飲みたい方が淹れることになってるが、
「はい。コーヒー」
「ありがとう…って、リョウちゃんがコーヒー淹れてくれるなんて珍しいな」
少し驚きながらも、嬉しそうにコーヒーを一口飲み…
「…苦っ!」
「そう?普段コーヒー飲まんから加減わからんかった」
「ちょっと薄める…」
「あかん!飲んで!」
そう。
濃いコーヒーを飲んでください。
睨み付けるような私を訝しげに見ながら、コーヒーを飲む旦那。
よしよし…
飲んでください。濃いコーヒーを!
私が何をしているのか?
実は私、男の子を産む準備をしています!
子供が欲しい、とか、赤ちゃんを可愛いとか一度も思ったことのない私が男の子を欲しいって思うようになったのは、「男の子は無償の愛を注げる彼氏」って言葉を耳にしたから。
無償の愛!
何の見返りも求めない愛を注げるオトコに出会ってみようじゃないか。
というわけで、男の子を授かるには。
排卵日に濃いセックスをして。
濃い精液を出す。
んで、セックスの前に男性に濃いコーヒーを飲んでもらうこと。
濃い濃い尽くし。
以上、私がネットで調べたこと。
サイトによって色んなことを書いてるので、試せるものは試してみよう!というわけ。
子供を持つなら女の子がいいって旦那には内緒。
さてさて。結果は…
次の生理予定日を待たずに早速妊娠検査薬を使った私。
生理予定日から検査可能。
説明書にも書いてるけど、そんなのはお構いなし。
この日は旦那の誕生日。
嬉しい報告したいもの🎵
尿をかけて検査薬を凝視していると…
薄っすらと、本当に薄っすらと陽性反応が見える。
何度も目を凝らしてみた。
細めてみたり、眉間に皺を寄せてみたりもしてみた。
薄く線が入っている。
「きゃー!やったぁ!」
思わず叫びながらトイレを出ると、愛猫が怪訝な顔をしてこっちを見ていた。
「やったよ~!」
無理やり抱っこしようとして、逃げられたけれど、そんなのはいつものこと。
誕生日なので、旦那の大好物のふわとろオムライスの用意をしながら帰宅を待つ。
旦那の帰りがこんなに待ち遠しいのは初めてかもしれない。
暫くすると、旦那から「今から帰るよ」コールが。
報告するのが楽しみ!
好物のオムライスをご機嫌に食べている旦那にサラッとさりげなく…
「妊娠してん」
一瞬、スプーンの動きが止まったものの
「そうか~。これからもっと仕事頑張るわ」
相変わらずのポーカーフェイスで流された。
ま、ほとんど感情を表に出さない旦那らしい反応。
物足りなさを感じながらもとりあえず…
リョウコ。
結婚数年目の、初めての妊娠と育児の記録です。
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