第8話 方針固め
<前回までのあらすじ>
彼女と親友が浮気していたことを知った正信。
親友の彼女であるちとせと浮気の証拠集めをしたところ、ざくざくと出るわ出るわのお祭り状態に。
そのあまりの多さに、ちとせさん般若降臨!?
迫力に気圧されうっかり対応をミスってしまった正信、さぁこのピンチ、どう乗り切るんだい?
――――――――――
目の前に座る少女は、もはや人間では無いのかもしれない。
そう感じてしまうくらいには、ちとせは人離れした様子になってしまっていた。
目からハイライトが消え、真顔。
背後には般若と、天井に達する勢いの怒りの炎。
これで普通の人間ですと言われても、多くの人はきっと「そんなわけない」と否定するだろう、たぶん。おそらく。
ただ、今回だけはそれほどの怒りを感じる理由も分かる。
信じてた人に裏切られることほど、やって欲しくないことはない。
だからこそ俺は絶対にしなかったし、他の女子(ちとせを含む)とは必要以上に関わりを持つことも無かった。
万が一一緒に何かしなきゃ行けないときは、千春が一緒に居るか、事前に了承を得るようにしていた。
そこまでしていたのに、そこまで大切に思っていたのに。
千春からしたら、そこまで大事じゃ無かったんだ。
愛してるって言ってくれてたのは、嘘だったんだ。
そう思ってしまうのも致し方の無いこと。
せめて別れてからにしてくれればいいのに、とまで思ってしまう。
それはちとせも同じ事。
だからこそ、般若が降臨してしまうくらいには怒りを感じるのではないだろうか。
「ちとせさんや」
「やっと思いついたの?人の話を聞いていない正信くん?」
「…主に後半部分については非常に議論したいが。それはともかくとして、どうするかなんて1つしか無いと思うぞ」
「1つしかない?そうかしら?」
「いいか、まず社会的な抹殺をするためには、世間に対して「こいつらは悪だ」というイメージを流さないといけない。だが、それを行うのは非現実的すぎる」
「確かにそうね、じゃあどうするの?」
「簡単な話だ。親を巻き込むんだよ」
「……そっか、その手があったか。やっぱり正信は天才だよ……!」
社会的な抹殺が、俺たちの最終目標。
幸い、証拠は全て揃っている。
いまどきSNSやら動画投稿サービスやらは充実しているから、やろうと思えば世界へ発信できなくはない。
ただし、あまりにも非現実的すぎる。
そこで、親の登場だ。
俺の両親と、高山家の両親は昔から仲が良いらしく、4人でとにかく仲が良い。
邦彦の両親はよく分からないが、聞いている限り放任主義な様子である。
息子が何しようが、興味が無いような感じ。
過去に邦彦の家にお邪魔したことがあったが、そのときは両親ともに不在、というか基本的に仕事人間であまり家に居ないとか。
その寂しさを埋めるためだとしても、浮気はさすがに情が湧かないのが本音。
というか、うちと高山家の両親さえ居れば、少なくともどうにかなる。
と、いうわけで。
その後もトントン拍子に話は進んでゆき。
両親と相談の上、2週間後をめどに、
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