第3話 犯罪者

「具体的な内容をお話する前に、少し失礼します。 はぁ………ふぅ」


 落ち着く為、深呼吸するレン。


 仕事人として、普段通りを装っていたレンだったが、レンの職は受付係。


 普段から戦闘に慣れている剣士とは違い、レンも一人の女性。 内心怖くてたまらなかった。


 「ゆっくりで大丈夫だよ、レンちゃん」


 ユキにそう言われ、少し落ち着きを取り戻したレン。


 「申し訳ありません。 少し取り乱しました。 では続きを」


 レンはここ最近起きた出来事、妹のカナがある組織に攫われた事を話した。


 「その時に、こんな物が」


 レンの家に置かれていた謎の封筒、アスタは中身を確認する為、開ける。中身は、誘拐した事実と、縄で手足を縛られている妹カナの姿があった。


 怖くて震えるレンを、優しく包むユキ。


 「お願いします。 カナを、助けてください」


 震えながらも、頭を下げ頼むレン。アスタとユキの返事は、とうに決まっている。


 「もちろん」


 作戦を考える前に、二人はレンを自分達の屋敷に連れて行った。


 屋敷に残っていたサオリとミユキに事情を説明するアスタ。


 二人とも驚いていたが、犯人を許せないという気持ちでいっぱいだった。


 「カナさんが攫われ、俺達の目的は捜索および、救出だが、その間にレンさんに何もないとは限らない。 だから捜索および救出は、俺とユキで行く。 ミユキとサオリはここでレンさんを守ってくれ、頼む」


 アスタの言葉を聞き、頷く三人。


 「カナさんが囚われている場所、心当たりはなにかありませんか? アスタ」


 「無いわけではないが、絶対の確信もない、だから急いで見つけ出す」


 「どうするアスタ、時間が無いなら、手分けして探した方が良いと思うけど」


 「あぁ、本来の救出なら、いかなる場合も団体行動だが、そうも言ってられない。 どちらか一方が先に見つけた場合は、もう一人もそこへ。即座に行動するが、戦うにしても、目的はあくまで救出。 時間はかけられない」


 「ミユキ、サオリ、何もないとは思うが、もし奇襲にあった際は、レンさんと二人の命を優先してくれ」


 「了解しました。 お姉ちゃんにアスタさんも、どうか無理はせず」


 「もちろん、だが必ず助け出す。 レンさん、怖いだろうけど、信じて待っていてくれ」


 「妹を、お願いします」


 「あぁ、任せろ」


 アスタとユキは、可能性がある建物、計六箇所を、急いで向かった。


~その頃~


 「なぁ、この娘受付係だろ? なんでこんな奴を攫うんだよ。 しかも楽しんじゃ駄目ってよ」


 「仕方ねぇだろ、ボスの命令だ」


 カナを攫った犯人達は、巨大犯罪組織の一つ、誘拐を専門とする組織だった。


 他二つは、闇金や裏金専門。そして、暗殺専門の犯人組織。


 彼らはこう呼ばれている、犯罪剣士と。

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