第20話


「千里ー、久しぶり、あれ以来かぁ」

「ごめんねぇ、心配かけて」


 翌日の夜、私はホストクラブに連れて行ってくれた友人と久々に食事会をした。

 香水のことで電話した後、彼女はやはり私が勇太に脅迫されていると考えたそうで、折り返して弁解とフォローもしたのだが疑っているし以降『大丈夫?』と頻繁に連絡をくれるのだ。


「殴られたりしてない?」

「してないって…本当に」

「なら良いけどぉ…一度信用失うと恐いもん」

「だよねぇ……あ、あのさ…私ね、………、」


 おずおずと来週の予定を告げると、友人はパァッと明るくなりえらく喜んでくれた。

「えー、良かったじゃん、うんうん…そっか、一歩前進ね」

「うん…でもさ、またフラッシュバックしちゃったらどうしよう」

「それは…うーん…信じるしかないんじゃん?それか酒で潰れてシちゃうとか?」

「一応ムードも作りたぁい」

私はまだ意識高くいたいのだ。

 あれから少しずつ怠惰になってしまったが取り戻そうとまた料理もっている。


「じゃあもう気分上げてさ、下着とか新調しちゃいなよ」

「そっちかぁ」

「技を習得するとか」

「わざ?」


 友人は女性用のアダルトサイトを教えてくれて、スマートフォンでも観られるようだからブックマークしておいた。


 そして和やかに呑んで解散して帰宅、出迎えてくれた勇太にただいまのキスをすれば彼は照れながら抱き締めてリビングへ誘導してくれる。

「酔うてんのか…」

「うん…ふふ♡」

「ホストクラブちゃうやろな?」

「今日は違うよぅ、へへぇ♡」

ソファーに掛ければキスの応酬、あぁ気持ちが良いな、このまま何も考えずにできちゃえば良いのにな。


 私は夫の首に腕を絡めたまま意識を飛ばした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る