親愛なる忘却へ

フリエ エンド

1

 天井が落ちてくる夢を見た。四畳ほどの部屋に自分が立っていて、かなり高いところにある天井がだんだん下がってきている。

 

 一目でこれは夢だと思った。だから潰されてみようと思った。


 昔読んだことのある本で、夢は夢であると感じると、目が覚めるというものがあった。しかし依然として朝日が目に入り込むことはない。

 夢の中に痛覚などないから、潰されたら痛いのか、苦しいのか、それとも何もなくいなくなるのか。

 夢と現実は実は繋がっていて、死んだら終わりだったらどうしよう。とか夢なのに一生懸命考えていたらいつの間にか、頭のところまで天井が来ていた。


 触っていることに気づかないくらい軽いのに、しゃがんで時間を稼ごうとした。

 ああ、あとちょっとで潰されるなあ、って。

 

 綺麗なのか、汚いのかもわからない床に体を押し付けて、その瞬間を待った。

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