高校の文芸部の新入生をどう選ぶべきかで論争した結果、賭けをすることにしました。 部活動 X ラブコメ X 青春! 面白くないわけがない組み合わせ! 最善を尽くします。人生を捧げます!
@Dntjq213
第1話
坂道に沿ってさまざまな形の家が建つ祐希の村にも冬が訪れる。 煙突から煙が立ち上がる。 それぞれ異なる夢や目標を持つ人々が、真っ白な雪の中から昇る太陽とともに新しい一日を迎えている。 祐希もまた、荷物をまとめながら未来に向かう準備をしている。
まだ始業まで時間があるが、今日は特別な友達との重要な約束がある。 腕時計をちらりと見る。今すぐ出発すれば、なんとか間に合うだろう。急ぐ必要はないが、ぐずぐずしていると学校に行くバスに乗り遅れるかもしれない。だから足を早める。
簡単な荷物をカバンに詰め、片手に小さなペンとメモ用紙を持つ。
ドアを開けると、冷たい空気が家の中に押し寄せてきて体を包み込む。 冷たい空気に焼ける一匹の魚のように自然に身を縮める。両手が自然にポケットに入る。寒さに負けず、手をポケットから出して体を伸ばす。 手がしみるが、それでも夢に向かう時間があることに感謝している。
肌寒い朝の空気が体を凍らせるが、情熱までは冷やせない。 凍えるような寒さの中でペンを取り出し、震えながら一文字ずつ書いていく。 この瞬間だけでも他のことはすべて忘れて、ただ自分の作品のために情熱を燃やし、手を温める。
学校は歩いて行くには少し離れた低い坂道にある。バス停に向かう途中で、前を見ずに歩くのは危険だとわかっているが、一年も通っている道だから大丈夫だろうと思う。 雪が降って白く覆われているからと言って、一夜にして景色が変わるわけではない。 そんな祐希が何文字か書くことは十分興味深い話だ。
極端に不便で、作文に集中することもできないが、これは欲求を満たすための不便だと自分に言い聞かせ、残念な気持ちをしばらく押し殺すことにする。 手の甲に落ちる雪片が、温もりを奪っていく。 ゆっくり凍りついて字さえ書けないほどになる頃に学校へ向かうバスが到着する。
目的地へ行くためにバスに乗り込み、閑散とした隅の席に座って別のことを考える。
希望する目的地に自ら連れて行ってくれるバスが良い移動手段ということは明らかだが、向かうべき場所がない時、むしろ良い手段になるかもしれない。 毎回同じ道だけを行き来し、いつも同じ終着地に至るバスなので、明確な目的地がある人だけが身を乗せるという先入観がその役割と価値をまともに示していないのかもしれない。
バスはむしろ明確な目的地があるので、自分の目的地がない人を導いてくれるかもしれないという気になる。 一見荒唐無稽極まりない話だが、経験者ならきっと理解できる。 同じ場所に飽きるほど滞在しているのに、去るところさえない時、そのように動く何かに身を任せれば気分転換になる。
どこに向かうかさえ分からないからかもしれない。 漠然とした好奇心が興味をそそるのかもしれない。 夢を乗せた朝のバスの中、温かい空気が手を包み込んでくれる。
バスは冷たい雪で手が凍ってしまった彼が再び字を書けるようにしてくれるが、もしかしたらその切実な夢を発散させる熱気こそが、バスを動かし続ける原動力なのかもしれない。 そんなぬくもりがなければ、バスの中まで凍ってしまうかもしれない。 こうして夢のために手を動かす勇気を得ることさえ、失ってしまうのではないかという恐れが、鳥肌となって立つ。
バスは彼の目的地に到着し、彼を停留所で降ろした後、また別の夢や人を乗せて出発の合図と共に煙を吐き出す。 バスは熱気を噴き出しながら、ぎっしりと積もった白い雪の上に黒い煤煙と共にタイヤの跡を残す。 タイヤの跡こそ、バスが循環する旅程を表す一種の痕跡だ。
バスでエネルギーを得た祐希は、再びペンと手帳を握る。
しばらく雪道を歩くと学校の前に着く。
坂道を下から一度見上げる。
大きく息を吸うと息が吹き出る。
冬になると白で、春になるとピンクで、夏になると緑で、秋になると茶色で、冬にまた白で。 果てしない循環が続いている。
そのように自分を周期的に変貌させるこの道は、もしかしたら登校途中に3年間身を任せ、この学校の繰り返される過程に心を委ねなければならない生徒たちの気持ちを表しているのかもしれない。
桜がまもなく満開を迎える坂道で、学校に初めて来た日を思い出し、気を引き締める。 感慨深くならざるを得ない。 文芸部に新入生が入ることを考えただけでも緊張して自然と胸がどきどきする。 すでに新入生の表情が目に浮かぶ。まだ始まってはいないが、徐々に咲く桜とともに、また騒がしくなることを信じて疑わない。 当面はつぼみに過ぎないが、すぐそうなる予定だ。
今までのように、桜が咲き誇り、散っていくように、うるさくなり静かになることを繰り返すだろう。
きっと、そうだろうと思う。
冷たい風だけが吹く寂しい坂道だが、始業すれば部活動の活動で騒がしくなるだろう。だから今、静かな瞬間を冬の風情として楽しむことにする。 雪降る冬の朝の落ち着いた雰囲気もそれなりに魅力がある。
学校に着いたらすぐにスニーカーを下駄箱にしまって、スリッパに履き替える。
まっすぐ部活動室へ向かう。 静かな廊下を歩きながら手帳に何かを書き下ろす。 誰もいない廊下は彼がこれをするのに最適な環境だ。 その音だけが狭い廊下に響き渡る。 部屋の明かりをつけると、やはり誰もいない部屋が歓迎してくれる。 ひんやりとした空気がただ漂う部屋だ。 暖房をつけることにする。冷たい風に吹かれてきた彼にとって、この部屋はさらに寒く感じられる。
がらんとした部屋は、まるで誰かを待っているかのように感じられた。 彼はぐずぐずと入ってきてため息をつき、自分がいつも座っていた席に向かい、他の部員を待つことにする。 腕時計をちらっと見ると、少し早く到着したことに気づく。 再び手帳を取り出そうとしたが、作文に没頭する時間はなさそうだと思い、ポケットにしまった。
揺れる文字で適当に何かを書いても、他の部員が来て興を壊すだろうから、むしろしばらく放っておくことにする。 仕方ない決定だが、訳もなく流れが途切れて気分を害するよりはマシだろう。
しばらくして、誰かが部屋に入ってくる。祐希は人の気配に気づいて首をかしげる。それは文芸部の部員で、友人の桃海だった。
祐希はぎこちなく、口を開けることができなかったが、それでも勇気を出さなければと思った。
祐希がぎこちない雰囲気を打破しようとした挨拶は、逆に文芸部室のぎこちなさを一層際立たせてしまった。
「今日はかなり早く来たね。」
桃海は、彼がそのような挨拶をすることに戸惑い、まるで機械的に吐き出したかのような硬い口調で答え、雰囲気がさらに冷たくなるのを感じた。
「その気まずい挨拶は何?」
祐希は恥ずかしさを隠そうと努め、気にしないふりをしながら、もう一度尋ねた。
「どう? 嬉しくない?」
彼女の答えは相変わらず冷たい。 外の冷たい天気が彼女の心まで冷やしてしまったようだ。
「うん、そうだね。」
期待していた答えではなく、がっかりしてさらに話を掘り下げた。
「あ、そうなの?」
百花はそのような挨拶には慣れていない様子で、眉をひそめつつ冷静に返答した。すぐそばにかばんを置き、どっかりと座り込む。ため息ばかりつきながら心を落ち着かせる。微妙な感情が彼女の意図しない疲れた表情に残っている。頭の中があれこれと複雑になる。今この場で良い解決策が得られることを願うだけだ。実は寒い冬の朝に学校まで来た本当の理由でもある。形式的でなければならない詩らしくない挨拶などどうでもい。
「うん、好きにすればいいよ。気にしないから。」
祐希が静寂に耐えられなくて先に言い出す。 短い一言が冷たい静けさを一瞬で破る。
「もうすぐ新学期が始まるよ。 冬休みも終わりだね。」
彼女は複雑な感情を表さないように、淡々と答える。
「そうだね。 寒ささえ経てばまた桜が咲くだろう。」
彼は首をかしげて尋ねた。止めることのできない時間の流れに、誰も先のことは分からないので、新しく近づいてくる未来に期待をかけてみる価値があるかもしれないと思う。 漠然とした自信が愚かに思えない理由かもしれない。
「まあ、そうだね。
」
彼女はやはり冷笑的な態度を一貫して取っている。
「どうせ同じだろう。毎回そうするように無駄に騒がしくなるだろうし、桜の花びらが散るように、すぐに静けさが戻るのは明らかだ。」
もう2年生になり、後輩と会うことを考えると胸がどきどきする。やはり、大きな夢を持った新入生がたくさん来てくれることを願うばかりだ。自分も最初にそのような漠然とした希望を抱いてここに来たので、共感できる人に出会いたいと思っているのかもしれない。
「とにかく新入生を迎えないといけないんじゃない? もう3年生が卒業したから席を埋める新入が必要なんじゃないか? 文芸部の歴史を継続するには、結局誰かが後を継ぐ必要があるんだ。」
彼はためらわずに本題に入ろうとする。 ぐずぐずすると頭が混乱するだけだから、時間の無駄だと思う。
「私も分かってるよ。だから今日ここに集まったんだ。」
3年生が卒業して去った状況で文芸部の未来を心配するのはおそらく極めて当然だ。 これといって大げさな表現を使いながら誇張するものではない。 文字通り未来そのものということだ。
「まさにそれだ! 私たち文芸部の未来のための対話を交わすためだと!」
彼女は変わらない事実をはっきりと述べたので、その口調は断言的だと感じる。
「そう、私たちもいつか卒業生になるよ。 私たちが学校を離れる時、文芸部を率いる中心になる人が必要だろう。」
彼もその事実をよく知っているので、なおさらそのように感じるのかもしれない。 短い会話で彼女が抱いている強い責任感を感じることができる。
「その通り。」
黙っているのは、彼自らその事実を納得してしまう格好に過ぎない。 自尊心を傷つけてどうしてもそうしたくない。
百花の返事に微妙に隠された意味を捉えて問い返す。かっとなってもかえって巻き込まれるばかりなので、感情を抑えて彼女の本音を探ろうと思う。
「もういない二人が残念じゃない?」
努めて肯定的に答えようとしたことが逆効果になってしまう。 意図せず雰囲気がしらける。 やはり別れが残念だが、目の前にはやるべきことが山積みだが、過去にこだわることはできない。
「そんなことじゃない。」
彼は、彼女に悪気がなかったことをすでに分かっていた。
「もう心を捨てて新しい人を受け入れなければならないってことだよね?」
彼女はそんなことを言ってから恥ずかしくなり、言い繕う。
「そう、その通りだよ。私たちの文芸部にとって特に良いことはないんだ。」
彼は彼女の顔が赤くなるのを両目で確認する。 もうこれについては口を出すべきではないと思う。 それを言おうとした彼女をからかうだけしかできない。
「過去の未練を断ち切らなければならないことを知っている。」
このやりとりで、降参したのは祐希だが、百花は敗北したような気がする。 彼女はさらに悔しさが胸にこみ上げた。
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