ヒハマタノボル。
猫野 尻尾
第1話:ありえない出来事。
この物語の主人公・・・「
中学三年生。
向日葵は物心つく前に両親を事故で亡くしている。
その後は祖父母に育てられて大きくなった。
向日葵には夢があった。
それはアイドルになること。
そのことを祖父母に話して芸能事務所が開催するオーディションに応募
した・・・だけど一次選考で落選した。
向日葵が頑張ってる中で祖父が倒れて闘病虚しく亡くなった。
向日葵とふたりになった祖母は、向日葵が田舎にいては思うように活動
できないだろうと向日葵を伝れて上京した。
祖母とふたり都会のアパートを拠点に各事務所のオーディションに
挑むもことごとく落選。
向日葵のビジュアルは悪くはない・・・世間一般で言えば可愛い方。
歌も独学だけど子供の頃から祖父母の前や親戚に前で披露するくらいの
歌唱力は持っていた。
だけど運とチャンスに恵まれない。
世の中にはそういう人はたくさんいるんだろう。
私にはアイドルになる才能も資格もないのかな?神様は私を見捨ててるのかな?
向日葵は悩んだ。
向日葵が祖母と上京して、しばらくして祖母が認知症を患い田舎に帰って
施設に入居した。
そしてアイドルになることを一番応援してくれていた祖母も今年の春に病気で
亡くなった。
祖母がいなくなり生活の糧を失った向日葵は親戚の家に世話になることに
なったがそうなるとアイドルになる夢も諦めざるを得なくなった。
親戚のおじさんもおばさんもアイドルなんて興味がないから、応援どころか
そんなくだらない夢は捨てるよう諭された。
向日葵にとってアイドルになる夢は捨てきれない。
親戚に引き取られてから向日葵の人生は、大きく変わった。
それからは何をしてもうまくいかない・・・。
全部マイナスに働く日々が続いた。
アイドルになれないことも祖母が亡くなったショックもあって向日葵は
悲しみに囚われた。
どこにも自分の居場所はないんだ・・・施設に入るのもおじさんや
おばさんの許可がないと無理・・・私はまだ未成年だから・・・ひとり
じゃ生きていけない。
向日葵の心は少しづつ病んで行った。
この先の人生を考えても、絶望しかない・・・自分の夢が断たれた以上
生きててもしょうがない、そう思った。
悪いことしか考えられない向日葵はまるで夢遊病者みたいに夜中にひとりで
街を徘徊した。
そして最寄りの駅の
下を見れ無機質な電車が通過していく。
それを見ていたら、ここから飛び降りたら楽になれるよね、そう思った。
そして
そしたら向日葵のスカート引っ張る誰かがいた。
スカートを引っ張るのは誰?と思って振り向くと、サラリーマンふうの
50代くらいの頭の禿げたまん丸い黒縁メガネをかけたおじさんが立っていた。
「夏川 向日葵(なつかわ ひまわり)?」
「そ、そうですけど・・・あなた誰ですか?」
「なんで、私を知ってるんですか?・・・ちょっと気持ち悪いんですけど」
「ごめん、スカート引っ張った時パンツ見ちゃった」
「可愛いいパンツ履いてるね」
「なんですか・・・あなた変質者?」
「な、訳ないでしょ?・・・こう見えても私、死神ですよ?」
「ただね私、パンツフェチなの」
「パンツフェチ?・・・死神?・・・なんなんですか?」
向日葵は汚いものでも見るような嫌な顔をした。
で、向日葵は思った・・・もしかして私がここから飛び降りて亡くなったら
私の魂を持ってこうとそれで死神が現れた?・・・そうなの?って
「向日葵ちゃん、死のうとしてたでしょ?」
「なんですか・・・放っておいてくれませんか・・・あなたに関係ないでしょ」
「いいですから、どこかに行ってください」
「そうだね、君が死んじゃったら魂もらってこうと思って来たんだけど
君が可愛いからね・・・このまま死なせるのはもったいないと思って」
「で、飛び降りるのを阻止しちゃったわけ」
「ほんとは人の運命変えちゃいけないんだけどね・・・」
「それになによりパンツ、可愛いいの履いてたし・・・」
「わ〜キモ・・・変態・・・死神にも変態な人っているんですね」
「長く死神やってると、いい人とか紳士的とかってものは邪魔になるからね」
「悪くてキモい人でけっこう」
「そんなどうでもいいことは置いといて・・・」
「向日葵ちゃん・・・もう一回自分の人生やり直す気ない?」
「アイドルになる夢諦めちゃダメだよ・・・死んじゃダメだよ」
「え?私がアイドルになりたいってなんで知ってるんですか?」
つづく。
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