地上最強の傭兵・再び異世界へ編
薔薇クルダ
第一章
第1話 異世界よりの帰還、そして
前書き:申し訳ありません。私のチョンボで今までのこの第四部の小説全部を削除してしまいましたので今再投稿しております。
復元するまでしばらくお待ちください。
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ゼロこと鳴海正人は未来マシーンJPT336895号の力を借りてようやく現代世界に戻って来た。
今鳴海がいる場所は鳴海が去った同じ鳴海の秘密の部屋だ。部屋の中にある時計を見てもそれほどの時間のズレはなかった。約1年と言う所か。
つまり向こうでの100年と言う時間経過はこちらでは加算されなかった事になる。
JPT336895号の奴、良い仕事をするじゃないかと鳴海は思っていた。
先ずここでする事がある。そもそもそれが異世界に行った目的の一つでもあった。
それは今は死人となっている矢野詩芽(やのしのめ)の亜空間に漂う魂を肉体に復活させる事だ。その為に必要な魂を集める為に異世界に行ったのだから。
目的の魂は集まった。後は復活の儀式を行うのみだ。ただこの儀式は流石の鳴海と言えども物凄い気力と精神力を必要とする。
以前にリカやリンの魂の復活の儀式をやった後は鳴海の精神も体力も枯渇していた。
ともかく今は詩芽の復活だ。鳴海はその儀式を執り行った。予測通り物凄い疲れと意識の混濁が始まった。
それだけ気力を使ったと言う事だ。
しばらくして詩芽の魂魄は肉体に宿り、詩芽は遂に復活を果たした。
詩芽本人は何がどうなったの、私は今何処にいるのと意識がはっきりしていなかったが、やがて自分に起こった事を思い出した。私は殺されたんだと。
そう詩芽は鳴海を殺す為に日本政府の手によって囮とされそして共に殺されてしまったのだ。
しかしそれでも鳴海を殺す事は出来なかったが詩芽は命を絶たれた。
その後の展開は鳴海の怒りにより多くの政府の要人がこの世を去った。
その後鳴海の消息は途絶えていたが今ここで鳴海も再び復活した。
さてこれから先どうするかと鳴海は考えていた。
詩芽は生き返ったとは言え、戸籍上の扱いは死亡だ。戸籍のない者がこの日本で生きて行くのは難しい。
更に言うならどんな人間も死ねばそれまで。そして世の中はそれでも何事もなかったように回って行くと言う事だ。
誰が死のうと日常の生活は何も変わる事はない。その時の悲しみはあるだろうがそれもやがて忘れられ、人々は日常の生活に戻る。
またそうする事で人々は心の痛みを軽減しそして忘れる事で前に進んで行けると言っても良いだろう。
だから鳴海や詩芽がいなくなっても世の中はいつもの様に回っていると言う事だ。人々は鳴海の事も詩芽の事もなかったものとして生活している。
それなら何もその人々の生活をかき乱す事もないだろうと鳴海は考えていた。
そこで鳴海は思った。世の中には戸籍があろうがなかろうが生きて行ける場所があると。それは戦場だ。
鳴海がかって住処としていた場所だ。そこでなら死人の詩芽も何の気兼ねもなく生きて行けるだろう。
そしてもう一つ、鳴海には目的があった。
この先もし詩芽が生きていると知ったら日本政府はどうするかと言う事だ。
詩芽は日本政府の汚点、裏の顔を知る唯一の証言者だ。恐らく生かしておくはずがない。
そうなると当然殺し合いが始まるだろう。しかし詩芽はまだ人を殺した事がない。
裏社会でやくざ相手に暴れまくっていた事はあるが、それと人殺しとはまた次元の違う話だ。
相手が本気で殺しに来るならこちらも自分を守る為にも対抗して殺さなければならない事もあるだろう。
ただ詩芽にはその経験がない。だからその訓練も兼ねて鳴海は詩芽を戦場に連れて行こうと思っていた。
勿論本人がそれを望むならだ。でなければ余生は人目を避けた隠遁生活を余儀なくされるだろう。
さて詩芽はどちらを選ぶのか。
詩芽は鳴海と共に戦場を選択した。鳴海は詩芽の偽装パスポートを用意して中東の戦場へと向かった。
そしてあれから3年、鳴海と詩芽は再び日本へ帰って来た。
詩芽の父親が心労が祟って亡くなったと言う事を知ったからだ。
この詩芽の父親もまた鳴海を殺す為の駒として使われた。言って見れば親子共々日本政府に利用された囮だった。
その怒りは鳴海も詩芽もまだ収まってはいない。まして今度の詩芽の父親の死で詩芽の心に更に火が付いたかも知れない。
この時日本政府は帰国人の中に鳴海の名前を見つけていた。
あれ以来、日本の内閣情報調査室は常に出入国の監視を続けていた。
当時の内調の責任者、松前世根彦は鳴海によって殺されてしまったが、その後を継いだ渡瀬圭吾がその任務に就いていた。
そして見つけたのだ、鳴海の名前を。切符は二人で購入されている様だった。
渡瀬は新首相となっている上村信三とどう対処するべきか相談していた。
「どう思うね、渡瀬君」
「そうですね、下手に刺激してこの前の様な事になっては本当に政府が転覆してしまいます」
「では何もしない方がいいと言うのかね、それであの者の怒りは収るかね」
そん時渡瀬の元に新しい情報が届いた。そしてそこに映し出されていた鳴海と共に搭乗していた人物はまさにあの矢野詩芽だった。
「馬鹿な、何故だ、何故彼女が生きている」
「渡瀬君、どう言う事かね」
「はい、真実は分かりかねますが、これは紛れもなく矢野詩芽ではないかと」
「あの我々が射殺したあの時の女性だと言うのかね」
「もしこれが本当なら、国家の一大事になります。何しろ彼女は我々の暗殺の証人ですから。例え死んだ事になっていても」
「ではどうするのかね、渡瀬君」
「そうですね、では彼らに取引を持ちかけるのはどうでしょうか」
「取引とは」
「はい、彼女は今は戸籍上では死亡した事になってます。しかしこの国では戸籍がないと生きては行けません」
「確かにその通りだ」
「ですので超法規的処置で戸籍を復元すると提案するのです。これなら乗ってくれるのではないでしょうか、将来この国で住むのなら」
「なるほど、これで相手に恩を売ると言う事かね」
「はい、今はそれしか方法はないのではないかと」
「わかった。ではこの件に関しては君に一任しよう。宜しく頼む」
「はい、承知いたしました」
渡瀬は部下二人を連れて入国出口で鳴海達を待っていた。この二人と言うのは当然ボデーガードも兼ねている。
鳴海と連れの女性が出て来た時、渡瀬は確信した。あれは矢野詩芽だと。
渡瀬は出来るだけ鳴海を刺激しない様に彼の前に立った。
「恐れ入ります。鳴海正人様でしょうか」
「ん?あんたは」
「はい、私は内調の松前世根彦の後任者だと言えばわかっていただけるでしょうか」
「それでその内調さんが俺達に何か用か。こっちにいるのが矢野詩芽だと言う事もわかっているのだろう」
「はい、承知いたしております。本日は一つ提案をお受けいただければと思いまして。あのーここではなんですので、空港内のVIP室をご用意させていただいております。出来ましたらご足労いただけないかと」
「まぁいいか、ここで騒動を起こす程あんたらも馬鹿じゃないだろうしな」
その時二人の随行員に一種の怒気が持ち上がった瞬間に、鳴海の威圧により二人は膝を折り動けなくなってしまった。
渡瀬は「まさか、これ程とは」と相手を過小評価していた自分を恥じた。
そして体中から冷や汗が噴出して来た。いつ殺されてもおかしくないと。
その後渡瀬は謝罪と共に、誠心誠意を持って超法規的処置で矢野詩芽の戸籍を復元すると誓った。
「どうする詩芽」
「私はどっちでもいいです」
「ではその方法で処置してもらおうか。ただしそれ以外の事は何もするな。我々も完全に許した訳ではないのでな」
「はい、承知いたしております」
こうして詩芽は再び日本国民として、この国での身分を確保した。
後は詩芽がどう生きて行くかだ。大学は中途半端になってるはずだ。復学するもよし、また起業するか就職先を探すのも良いだろう。
後は詩芽に任せようと鳴海は思っていた。
「詩芽、ここから先はお前の人生だ。好きに生きたらいいだろう。もう俺について来る必要はない」
「鳴海さんはどうするんですか」
「俺はもうこの国でやりたい事は終わった。旅に出ようと思ってる」
「旅ですか、何処に行くんですか、南米とか」
「それも面白いかも知れんが、俺が今までいた所だ。結構面白い世界があってな、もう少し向こうで遊んでみようかなと思ってる」
「へー何か面白そうですね。私もついて行ってもいいですか。もうこの国に未練はありませんので」
「本気なのか、もしかするともう帰って来れんかも知れんぞ」
「それって戦場も同じでしょう。なら大丈夫ですよ」
「お前も面白い事を言う様になったな。では行ってみるか」
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