side② - 6
大学を卒業して、俺はデザイナーのたまごになった。俺はいつか、あの人や三好に俺の作った服を着せてやりたかった。
三好は父親の会社を継ぐため、その子会社で色々勉強することがあるようだった。あの悪魔が離れてから、三好は時折俺のとこへ来ては酒を飲み、映画を見て、面白くないと文句を垂れる。俺が「ミヨシくんの感性がないねん」とからかうと、機嫌が悪い素振りをみせ、報復しようと俺の身体を暴いた。俺は三好に媚びるように身体を差し出し、三好の牙を全身で研いでやった。三好のねじ曲がった性癖は健在で、塞がりかけた穴の上からでも容赦なく針を刺す。それでも、今まではヤッてお終いだった行為が、遊びの延長になり、お終いまでの猶予もある現状がこの上なく嬉しかった。
これまでユウに費やしていた時間が、週一回の電話に集約し、三好は他の時間を持て余しているようだった。三好は、少しばかりやせ細った。それは、本当に微々たる変化だったが俺はすぐに気がついた。悪魔への未練がそうさせているのだろうか。まだ、三好の身体には悪魔への優しさも欲も残っている。それでも時間は流れる。悪魔が姿を消して2年の月日が経ちそうになっていた。俺は変わらず、三好を愛し続けた。この呪いは俺に刻まれた穴がなくなるまで消えないだろうと確信していた。これだけの時間を共にすごしても、未だに三好の俺への
三好は悪魔がいなくなっても生きている、傍に俺がいたから。そうやよね、三好? このまま時が経てばもうじき、俺が悪魔に成り代われる。むしろ天使にでもなってやる。そんなことを思っていた。でも、それは全て俺の勘違いだったのかもしれない。
一通の茶封筒が届く。同じ封には招待状。
「俺、結婚するんだ」
俺はいつの間にか忘れていた。こいつは初めから、俺の心も身体も簡単に傷つける男だった。俺が欲しいものはくれないクセに、俺の全部を掌握して弄ぶ人間だった。1度だって俺に愛の言葉ひとつくれなかった。嘘でもいいのに、夢すら見せてはくれなかった。はじめから終わりがあるなら、先に言っといてや!
彼は酷い男だった。
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