11月29日 天気:めっちゃ晴れ
今日はどうしてもハンバーガーを食べたくなってマックへ行った。
私の住んでいる家は少し特殊で、1階に私が住んでいて、2階にマクドナルドがある。3階には八百屋さんがある。
少し階段を上ればマックがあるというこの恵まれた環境に身を置く以上、ハンバーガーを食べたくなったら2階に上がるのが礼儀というものだろう。
という事で私は階段を上った。なんか階段好きなんだよ。無性に。
このマックは少し変わっていて、入口が襖になっているので私は両手を使って丁寧に入店した。
「おいでやす」
そう言って私を出迎えたのは、ガリガリに瘦せこけたボブサップだった。
きっとパラレルワールドから来たボブサップ。真っ白なスーツを着こなしている。
結婚式に来たみたいで幸せな気分だ。
「犬の交尾バーガーを8個ください」
私はマックに来ると毎回この注文をする。
口に入れた瞬間に犬の交尾の様な香りがする至高の逸品だ。これを8個食べることで、口の中で16匹の犬が交尾をする。私が世界の創造主だ。
「あとスマイルもください」
この店のスマイルは世界一といっても過言ではない。
ガリガリのボブサップの満面の笑みはあらゆる病気を完治させるという。
その代わり、保険は使えない。全額負担だ。
「お会計、1200ドルになりますどすえ」
ボブサップは瞳を切り裂きそうなほど口角を上げて、最高の笑顔でそういった。しかし、どこか悲しそうにも見えた。
「QUOカードで」
私はそう言って、残高3000ドルのQUOカードを財布から引っこ抜いた。
我ながらスマートだ。
「ありがとござまんす」
ボブサップのにわか京都弁もついにここまで来たらしい。
私は商品と封筒に入ったレシートを受け取り、でんぐり返しで帰宅する。階段の角がもう後戻りできないほど後頭部をずたずたにした。
「ただいま」
誰もいない我が家に帰宅を告げ、私は食卓に着く。
会計が妙に高かったことを思い出した私は、封筒を開けてレシートを見た。
犬の交尾バーガー8個、4ドル。
スマイル、1196ドル。
医療、偉大なり。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます